ボーカル用VSTプラグインおすすめ17選【2023年】

ボーカルは歌モノ音楽の中でもっとも重要なパートです。 バックトラックがすばらしくても、ボーカルの処理がよくなければ曲は台無しになってしまいます。

そこで、この記事ではボカールのミックスにおすすめのVSTプラグインソフトを紹介します。

マルチエフェクト

Nectar 3 Plus / iZotope

izotope nectar

Nectar は、AI(人工知能)を搭載したボーカルトラック用のミキシング総合プラグインです。

個別のトラックに挿して使うチャンネルストリップのようなプラグインです。ピッチ補正、ディエッサー、コンプレッサー、EQ、ハーモナイザーなど、ボーカルミックスに必要なエフェクトがすべて入っています。

AIが曲を分析し自動で適切なエフェクト設定を提案してくれる Vocal Assistant 機能を搭載しています。

提案されたエフェクト設定をもとに、自分で調整することもできます。

ノイズ除去

RX / iZotope

izotope rx

RXは、人工知能を用いた業界標準のノイズ除去ソフトです。

人工知能が自動で問題のある箇所を発見し修正します。人工知能が提案したセッティングを自分で調整することもできます。

基本的にはスタンドアロンソフトですが、一部の機能はDAWのプラグインとして使えます。

ボーカル録音をするなら、ぜひ持っておきたいソフトです。

コンプレッサー

Auto-Tune Vocal Compressor / Antares

Auto-Tune Vocal Compressor は、人工知能を搭載したデュアルステージのボーカル用コンプレッサープラグインです。

2つのコンプレッサーを使用して、音量ムラを整える、強いトランジェントを圧縮してするという2つの処理をひとつのプラグインで効率よく行うことができます。

それぞれのコンプレッサーのステージごとに、FET、Opt A、Opt B、Modernの4種類のコンプを選択できます。FET、Opt A、Opt Bの3つはボーカル処理に使われる定番のアナログコンプレッサーのモデリング、Modernは色付けのないデジタルコンプです。

  • FET: Urei 1176
  • Opt A: Teletronix LA-2A
  • Opt B: Tube-Tech CL 1B
  • Modern: デジタルコンプ

人工知能を搭載しており、仕上がりのテイストを指定すると人口知能が自動で適切なコンプを選び設定してくれます。ボーカルコンプの設定の時短をしたい方や、ボーカルのコンプのかけ方がわからないという方に最適です。

ボーカルだけでなく、ベースやその他のインストゥルメントにも使うことができます。

Pro-C2 / FabFilter

fabfilter Pro-C2

Pro-C2は、グラフィカルなインターフェースで、DTM初心者の方でも使いやすいデジタルコンプです。

音質の異なる8つのモード(Clean, Classic, Opto, Vocal, Mastering, Bus, Punch, Pumping)があります。

MSコンプ機能があり、Midだけ、またはSideだけにコンプをかけることができます。

グラフィカルなインターフェースで、音がどのように変わっているかわかりやすく、コンプの使い方がよくわからないという初心者の方でもかんたんに使えます。

smart:comp / Sonible

smart:comp / Sonible

smart:comp 2 / Sonible は、人工知能を登載した多機能なコンプレッサープラグインです。

トラックの楽器の種類を選択し曲を再生すると、人工知能が曲を分析し自動で適切なコンプレッサーが設定されます。設定されたパラメーターを手動で調整することも可能で、コンプをゼロから設定する手間を省き、作業時間を短縮できます。

コンプレッションの伝達関数を自由に調整できるフリーフォームトランスファー機能も搭載しています。通常のダウンワードコンプにアップワードコンプを加えたような処理も可能です。アタック、リリースのカーブを自由に調整可能で、コンプの質感を変えることができます。

周波数帯域によってコンプのかかり方を変えるスペクトラルコンプレッション機能を搭載しています。2000以上の帯域で動作する高解像度のマルチバンドコンプのような機能です。スペクトラルコンプでは、Style、Spectral Comp、Colorの3つのノブで、歪みの強さ、コンプのかかりの強さ、音の明るさを調整できます。また、スペクトラルコンプをかける周波数の領域も設定できます。

入力レベルを特定の範囲内に自動調整することで音量のムラをコンプの前に整えるInput Riding機能を搭載しています。ボーカルなどの音量ムラの大きな音源に用いるとより自然なコンプ感が得られます。

smart:comp は、非常に多機能なコンププラグインです。コンプのディテールを突き詰めたい方や人工知能の自動設定を利用してコンプ調整の時短をしたい方におすすめです。

EQ

Pro-Q 3 / FabFilter

fabfilter Pro-Q3

Pro-Q3は、業界標準のイコライザープラグインです。プロのミキシングエンジニアから、DTMerまで大人気の製品です。

直感的に使いやすいインターフェースで作業効率がよいです。

ダイナミック機能、リニアフェイズ機能、MS処理機能などデジタルEQに求められる機能のほぼすべてを網羅しています。

音は色付けのない透明な音色で、問題のある帯域をカットする用途に適しています。アナログ的な独特の色付けはないので、ブーストして音を前に出すといった用途には向いていません。

別のトラックの音とのかぶりを表示する機能があり、キックとベースのかぶりの調整などが簡単にできます。

SplitEQ / Eventide

SplitEQ / Eventide

SplitEQ / Eventide は、音をトランジェント(アタック)とトーナル(サステイン)の部分に分け、それぞれ個別にEQをかけることができるEQです。

トランジェントシェイパーとEQを合わせたような機能で、従来のEQでは不可能な処理ができます。

歯擦音や耳障りさを高めることなくボーカルに光沢を加えたり、アコースティックギターの高調波を強化しながら弦のバズを減らしたりすることができます。

SplitEQ
Eventide
SplitEQ

soothe2 / oeksound

soothe2 / oeksound

soothe2 / oeksound は、問題のあるレゾナンスを低減するダイナミックレゾナンスサプレッサーです。

ダイナミックEQのような機能のプラグインですが、おおまかな帯域ごとに処理する強さを指定するだけで、問題がある周波数を検知して自動で処理してくれます。

ボーカルに使用した場合には、部屋の共振によるこもりや、近接効果による濁り、不快な歯擦音などを低減し、すっきりとしたヌケのよい音をつくってくれます。

ディエッサー

ディエッサー(Deesser)は、「歯擦音(しさつおん、シビランス)」と呼ばれる耳障りな「ess」または「shh」音を低減または除去するためのエフェクトです。

Pro-DS / FabFilter

Pro-DS / FabFilter

Pro-DS / FabFilter は、グラフィカルな表示で初心者でも使いやすいディエッサープラグインです。

圧縮した箇所を黄色く表示するスクロール波形と、周波数スペクトルのどこで歯擦音を検出するかを示す左下隅の小さなストリップにより、その動作を表示します。

ボーカル専用とより複雑な信号用の2つのモード、ルックアヘッド、外部サイドチェーン機能など多機能なディエッサーです。

ボーカル以外の音に適した 「オールラウンド」モードにより、Pro-DSは、シンバル、過度のフレットノイズのあるアコースティックギター、および不快な高周波コンテンツに苦しむほとんどすべてのソースで、望ましくない耳障りな音を抑えることができます。

Oxford SuprEsser / Sonnox

sonnox oxford supresser

Oxford SuprEsser は、ボーカルの耳障りな歯擦音を低減するディエッサープラグインです。

歯擦音に限らず低域でも高域でも不快な帯域を低減するコンプレッサーとしても使用できます

リッスン機能では、全帯域、選択帯域、非選択帯域を指定してモニタリングでき、狙うべき帯域をかんたんに設定できます。

グラフィカルなインターフェイスで使いやすいディエッサーです。

サチュレーター

Saturn / FabFilter

Saturn 2 / FabFilter

Saturn 2 / FabFilter は、グラフィカルなインターフェイスで使いやすいマルチバンド・サチュレーションプラグインです。

最大6つまでの帯域に分割できるマルチバンド機能を搭載していて、帯域ごとに個別にサチュレーションをかけることができます。

28種類の歪みタイプを選択可能です。定番の真空管やテープから、ギターアンプをモデルとした「Amp」、サウンドを激変させる「FX」など非常に歪みの種類が豊富です。ソフトなサチュレーションから激しいディストーションまでさまざまな歪みサウンドをつくることができます。

LFOやエンベロープフォロワーなどのモジュレーション機能でパラメーターを動的に変化させることもできます。

Oxford Inflator / Sonnox

sonnox oxford inflator

Oxford Inflator は、トラックの音圧を高め音に迫力を加えることができるエフェクトです。Sonnoxのプラグインの中でも、もっとも人気があるもののひとつで多くのミキシングエンジニアが使用しています。

マスターバス、個別のトラックどちらにでも使用できます。

シンプルなパラメーターで使いやすいのも特徴です。「Effect」はエフェクトの強さを、「Curve」は音質の特性を調整します。

ミックス初心者でも、かんたんに使えミックスのクオリティを上げてくれます。

ディレイ

EchoBoy / Soundtoys

EchoBoy / Soundtoys

EchoBoy は、万能なディレイプラグインです。

業務用スタジオ・クオリティのデジタル・ディレイ。柔らかい音のテープ・エコー。グランジ系の歪みのかかったローファイ・エコー。そして、グルーブ感にあふれたダビーなディレイなど、さまざまなディレイサウンドを生み出すことができます。

EchoBoy
Soundtoys
EchoBoy

Comeback Kid / Baby Audio

baby audio comeback kid

Comeback Kid / Baby Audio は、多機能で使いやすいディレイプラグインです。

デジタルディレイに求められる機能を網羅し、使いやすいインターフェイスに収めています。

ディレイ音に対して、ローカット、ハイカットフィルター、トランジェントシェイパー、ビットリダクション、サチュレーター、フェザー、ディフュージョン(拡散)、ハースディレイ、ステレオヴィブラート、パン、ダッキングの処理を行うことができます。

インターフェイスも見やすく、使い勝手のよいディレイプラグインです。

Comeback Kid
Baby Audio
Comeback Kid

リバーブ

Pro-R / FabFilter

fabfilter Pro-R

Pro-R 2 は、直感的に分かりやすいパラメーターで、初心者の方でもかんたんに使えるリバーブプラグインです。

一般的なリバーブにはないDistanceというパラメーターがあり、音源の奥行きをかんたんに指定できます。

小さなアンビエンスから大きなカテドラルまで、ルームサイズを連続的に変更できます。

帯域ごとにディケイタイムを調整でき、さまざまなキャラクターのリバーブをPro-Rひとつでつくることができます。

リバーブを通過した音にイコライザーをかける6バンドPostEQが搭載されています。リバーブと別にEQを挿さなくても、Pro-RひとつでEQをかけられるので効率よく作業できます。

Rev LX-24 / Arturia

arturia rev lx-24

Rev LX-24 は、1978年に発売されたデジタルリバーブの名機Lexicon 224のクローンプラグインです。

Lexicon224は、現在でも人気が高く現役で使われています。

実際の空間の残響を再現するという点では、現在のコンボリューションリバーブに劣りますが、ヴィンテージなデジタルリバーブのサウンドは、ポップスやロックなどによく合います

ホール系、ルーム系、プレート系など、8種類のリバーブアルゴリズムを備えています。

Arturia版では、3つの動作モード(Vintage 12, Vintage 24, Modern)を備えていて、Vintageモードはサンプルレートがオリジナル同様の20,480Khzで、Vintage 12は12bitで、Vintage24は24bitで動作し、ザラついたヴィンテージ感あるリバーブサウンドが得られます。Modernモードでは、DAWのサンプルレートで動作し、現代的でクリーンなサウンドになります。

また、各パラメーターをグラフィカルに表示するAdvanced画面を備えています。Advanced画面では、Mode Enhancement、Decay Optimization、Reverb Diffusionを調整できます。

さらに、追加機能であるインプットのドライブとハイパスフィルター、ダッキング用のコンプレッサー、Brightness、ステレオ幅の調整も可能です。

ロボ声

VocalSynth 2 / iZotope

izotope vocal synth

VocalSynth 2 は、ボーカル用特殊効果のマルチエフェクトプラグインです。

ロボットヴォイス風のボコーダーや、フォルマントシフトなどロボ声系のエフェクトなら、ほとんど何でもできるエフェクトです。

上段には5つのロボットボイス系エフェクト(Biovox, Vocoder, Compuvox, Talkbox, Polyvox)、中段にはピッチ補正、ハーモナイザー、ノイズゲート、ステレオイメージャー、下段にはさらに7つのエフェクト(Distort, Filter, Transform, Shred, Chorus, Delay, Ring Mod)を備えています。

ロボットボイスを作るだけでなく、バックボーカルの質感を少し変えて、メインボーカルとの分離をよくするなど幅広い用途にで使えます。

歌モノをつくるなら持っておきたいプラグインです。

まとめ

ボーカル向けのおすすめエフェクトを紹介しました。 これらのエフェクトを使って、よいボーカルサウンドをつくりましょう。