リファレンス曲(リファレンス・トラック:Reference Track)とは、ミキシング時に参考にするための曲のことです。
商業リリースされている曲の中から、自分の目的にあった曲を選んでリファレンス曲として使用します。
特別にリファレンス用に作られた曲があるわけではありません。
このリファレンス曲と同じ感じになるようにミックスを調整していくことで、あなたのミックスをプロ品質に近づけていくことができます。
リファレンス曲を使うメリット
ミキシング時にリファレンス曲を使うメリットは、主に2つあります。
よりよくミキシングできる
ひとつめのメリットは、よりよいミックスができるということです。
最高のエンジニアがミックスしたものを手本にして、それをトレースするようにミックスしていけば、あなたのミックスは飛躍的に改善します。
リファレンス曲という手本があれば、キックの音圧はこれでよいか、パッドの拡がりはどんな感じがよいか、ボーカルのリバーブはどれぐらいかなど、よいミックスというのはどのようなものかが分かるので、それに近づけていくことで、あなたのミックスもプロ品質に近づいていくのです。
より早くミキシングできる
もうひとつのメリットは、ミキシングが早くできるということです。
リファレンス曲があれば、目指すところがはっきりと分かっているので、いろいろと試行錯誤して適切なバランスを見つけていくという時間が必要ありません。
このため、短時間で理想的なミックスを完成させられるのです。
リファレンス曲を使うための設定方法
では、実際にリファレンス曲を使う手順について解説します。
まず、あなたがミックスしているDAWのファイルに新たなオーディオ・トラックをつくって、そこにリファレンス曲を取り込んで貼り付けます。
次に、リファレンス曲のコーラス、ブレイク、ドロップなどのシーンごとに、ワープ・マーカーやロケーターなどをつけて、参照したい部分をすぐに再生できるようにします。
このままでは、リファレンス曲がマスター・バスを通して再生されるときに、マスター・バスのエフェクトがかかってしまいます。
これを避けるために、自分の曲用のミックス・バスを新たにつくり、リファレンス曲のトラック以外のすべてのトラックをそのミックス・バスに出力するようにルーティングします。
そして、マスター・バスに挿していたエフェクトを新たに作ったミックス・バスへ移し替えましょう。
こうすることで、リファレンス曲にエフェクトがかかることなく元のままの音で再生できるようになります。
これで、準備は完了です。
リファレンス曲の使い方
あなたの曲とリファレンス曲との対応する部分を比べながら、リファレンス曲と同じような感じになるようにミックスしていきましょう。
キックとベースのバランス、スネアのコンプ感や、ボーカルのリバーブのかけ方、パンニング、ステレオ感など、一つひとつ比べながらミックスしましょう。
この作業をくり返していくことで、あなたのミックスはプロの品質に近づいていきます。
リファレンス曲の探し方
リファレンス曲は、あなたがミックスしようとしているものと同系統の曲がよいです。
同じようなジャンルやアレンジのもので、こんなミックスにしたいと思うような曲です。
リファレンス曲は、ふだん音楽を聞いているときに常に探すようにしましょう。
参考になりそうな曲があれば、ジャンルや系統ごとにプレイリストなどをつくって保存しておきましょう。
まとめ
以上のようにして、リファレンス曲を使えばミックスをより上手に、より早くできるようになります。
リファレンス曲を使用することは、ミキシング技術を上達させるための一番手っ取り早い方法です。
特に、ミキシング初心者には絶大な効果があります。
リファレンス曲を使用して、あなたのミキシングを改善していきましょう。