ミキシング時に音の抜けが悪い、モコモコしたこもった音がして、各パートがクリアに分離して聞き取れないと困っていませんか。
ミキシング初心者がよく直面する問題の1つです。
音がこもってしまう原因は、200 ~ 400Hz ぐらいの中低域で多くのパートが重なってしまっていることです。
この中低域は、キックやベースからスネア、シンセ、ギター、ボーカルまで多くのパートが鳴っているので、ゴチャゴチャして不明瞭なこもった音の原因になりやすいのです。
中低域で、音がかぶりすぎないように個々のパートに適切なスペースをつくってあげることで、こもりは解消できます。
解決法は3つ。
アレンジの修正、パンニングの修正、イコライジングの修正です。
では、ひとつずつ解説していきます。
アレンジを修正してパートのかぶりを減らす
同じような音程で、いろんなパートが鳴っていませんか。
1オクターブ上げても問題ないパートを、オクターブ上にずらすと帯域がかぶらずスッキリとしたアレンジになります。
ステレオ感を拡げる
多くのパートの定位が真ん中に固まっていることも、こもりの原因になります。
真ん中に置かなくてもいいパートを左右に振ったり、拡げたりしてみましょう。
左右に拡げるパートは、金物やハンド・クラップなどの細かなパーカッション系や、あまり重要でない装飾音、それに、パッドやサブ・ボーカルなどです。
逆に、真ん中に残すパートは、最も重要なパートであるメインのボーカルと、それに加えて、キックやベース、スネアなどアレンジの土台になる部分です。
低域は、拡げないように注意しましょう。
拡げる方法には、単純に右か左に振る方法や、ステレオ・イメージャーやオート・パン、ハースなどのエフェクターを使う方法、1つのパートを少し違う音色の2つのパートに分けて、それぞれを左と右に振る方法などがあります。
イコライジングで中低域を減らす
音がこもる原因となっている、200~400Hzの中低域をEQで削ってスッキリさせましょう。
各トラックで調整する
キックとベース、それとアレンジの中で重要なパートを除いて、全トラックにハイパス・フィルターをかけてみましょう。
スペクトラム・アナライザー付きのイコライザーを各トラックに挿して、基音より下のなくてもそのパートにあまり影響のない帯域をすべてカットしていきます。
もし、ハイ・パス・フィルターでは、削りすぎてスカスカになってしまうようであれば、ロー・シェルフ・フィルターを使って、低域を下げてみましょう。
マスター・バスで調整する
あまりおすすめではありませんが、各トラックを調整するより簡単なのが、マスター・バスのEQを調整する方法です。
300Hzを中心にバンド幅を広めにして、こもっている帯域を少しだけカットしてみましょう。
マスター・バスでのEQは影響が大きく、やりすぎるとスカスカになってしまうので注意が必要です。
せいぜい -2dB ぐらいまでにしましょう。
まとめ
音のこもりを解決することで、あなたのミックスは各パートがクリーンではっきりと聞こえるようになります。
なかなかうまくいかない場合は、自分がつくっている曲に似た音色の配置のリファレン曲を参考にしてみましょう。
音色の組み合わせ、レベルのバランス、定位、イコライジングなどを研究しましょう。