ミックスのステレオ感を左右に広げる10の方法【初心者向け】

左右に空間を広く使うことは、クリアで分離のよいミックスをするために重要です。 この記事では、ミックスを左右に広げるための手法や使うエフェクトについて解説します。
ステレオ感を広げる仕組み
モノラル信号を再生すると、左右のスピーカーからまったく同じ音が出ます。このとき音が真ん中から鳴っているように聴こえます。 音を左右に拡がった感じにするには、モノラル信号を加工して、左右の信号を異なるものにしてステレオ成分つくる必要があります。左右のスピーカーから異なった音が出ていると、音像が広がって聴こえます。
ステレオ感を広げる方法
ステレオ・イメージャー
ステレオ・イメージャーは、音のステレオ感を広げたり狭めたりするエフェクトです。ステレオイメージャーを使えば、モノラルのオーディオ信号を広がりのあるワイドなサウンドに変えることができます。


ピンポン・ディレイ
ピンポン・ディレイとは、ディレイ音が左右交互に鳴るディレイです。 ピンポン・ディレイを使えば、真ん中にドライ音をはっきりと残しながら、広がりのあるステレオ・イメージをつくることができます。ボーカルなど、真ん中にドライ音を残しつつ拡げたい場合に適しています。


ハース・ディレイ
モノラル信号を、左右のどちらかにパンして、それにディレイをかけてディレイ音を反対側から1度だけ鳴らします。これにより音が左右から聴こえて、ステレオ・イメージが広がります。 真ん中からは、音像がなくなります。 シンセのコード音などを左右に広げて、ボーカルのために真ん中のスペースを開けたい場合に適しています。クラップなど、キックやスネアほどは重要でないパーカッション系の音にも、よく使われます。 この手法は、ハース・エフェクトと呼ばれます。


リバーブ
リバーブで、空間全体に広がる残響を生み出すことで、ステレオ感をワイドにすることができます。


コーラス、フランジャー、フェイザー
コーラス、フランジャー、フェイザーは、音にうねりをつくり出すエフェクトです。左右で別々のうねりを発生させれば、音像を広げることができます。


オートパン
オートパン(Auto Pan)は、音の定位をLFOで左右に自動で動かしてくれるエフェクトです。音が左から右、右から左へとゆらゆらと動いて音像を広げてくれます。


ピッチシフト
左右で音のピッチを少し変えることで、ステレオ感を広げることができます。ピッチシフターなどのエフェクトを使います。 真ん中に音像を残しておきたければ、左、真ん中、右の3つの信号をつくって、それぞれピッチをずらします。真ん中の音像が不要であれば、左右の2つの信号をつくってピッチをずらします。


MS処理
MS処理とは、音を真ん中(Mid)成分と両サイド(Side)成分に分けて処理を行うことです。MS処理でサイド成分をブーストすれば、ステレオイメージを広げることができます。マスタートラックで行うのに適しています。


音色を変える
シンセなどであれば、左右で少し音色の違うシンセを鳴らすとステレオ感を広げることができます。
ダブル・トラッキング
ボーカルなどの生録音のものであれば、別々のテイクのものを左右に分けて鳴らすことで、ステレオ感を広げることができます。
まとめ
ステレオ感を広げるには、さまざまな手法があります。音色が変わったり、モノラル互換性に問題が発生したりすることがあるので、場合に応じて適切な手法を使う必要があります。