ミックスに奥行き・立体感をつくる4つの方法

ミキシング
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ミックスに奥行きや立体感をつくることは重要です。 ミックスに奥行きや立体感をつくるには、音量、周波数特性、トランジェント、残響成分の4つのパラメーターを調整することが必要です。

パラメーター ツール
音量 ボリュームフェーダー
周波数特性 EQ
トランジェント コンプレッサー,リミッター,トランジェントシェイパー
残響成分 リバーブ

この記事では、これら4つのパラメーターを調整して、ミックスに奥行きや立体感をつくる方法について解説します。

奥行き・立体感のあるミックスが重要な理由

すべてのパートが一番前で鳴っている平面的なミックスは、音がごちゃごちゃになり、素人っぽいミックスになります。

ミックスに奥行きや立体感を出すことで、プロ品質のミックスになります。

ミックスに奥行きや立体感がなければ、リスナーは焦点を定められず、どのパートに注意して聴けばよいのかわかりません。

そのため、リスナーにより注目してほしいパートを前に出す必要があるのです。

前に出すのは、曲を構成する上で重要なパートです。

ポップミュージックならボーカルですし、ダンスミュージックならキックとベースになるでしょう。

音を前に出したり、後ろに下げたりしてミックスに奥行きや立体感を生み出す手法を学ぶことで、あなたのミックスの質を飛躍的に高めることができます。

音の奥行き遠近感を決める4要素

ミックスの中で音源が遠くにあるのか近くにあるのかは、音量、周波数特性、トランジェント、残響成分によって判断されます。

音の遠近感を決める4要素

  • 音量
  • 周波数特性
  • トランジェント
  • 残響成分

音源の遠近感は、1つのパートだけで判別できるわけではなく、他のパートと比較することで判別できる相対的なものです。

そのため、ミックスに奥行きや立体感を出すには、前に出すパートと後ろに下げるパートをつくる必要があります。

音量

音源の距離感は、音量が大きければ近くに、小さければ遠くに感じられます。

音量は、ミックスに奥行きや立体感をつくる上でもっとも簡単に扱える要素です。

音の位置
音量

音は音源からあらゆる方向に球面状に拡散します。

このため音源から遠ざかるに従って、音は消散し、音の振幅が減衰していきます。

音の振幅は、音源からの距離の2乗に反比例して減衰します。

つまり、音源からの距離が2倍になれば振幅は1/4に、音源からの距離が4倍になれば振幅は1/16になるということです。

これは、音源からの距離が2倍になるごとに、音量は約6dB減衰することを意味します。

拡散に加えて、空気の摩擦によって音の振幅は減衰します。

音の波が空気を押し出したり、引っ込めたりするときに摩擦が発生します。

この摩擦により音の振動のエネルギーが熱に変換され、振動エネルギーが減衰します。

このため音源から遠ざかると、音量は小さくなります。

これらの法則をミキシングに適用すれば、ミックスの中で音を前に出すには音量を大きくし、音を後ろに下げるには音量を小さくすればよいということになります。

このようにして、音量を調整することでミックスに奥行きや立体感をつくることができるのです。

周波数特性

音の高域成分が少なければ音源は遠くにあるように感じられ、高域成分が多ければ音源は近くにあるように感じられます。

音の位置
高域成分

音が空気の中を進むとき、高域が減衰しやすく、低域は減衰しにくいです。

高域のほうが低域よりも早く減衰するのは、周波数が高いほうが、単位時間あたりの振動数が多いので空気の摩擦が多いからです。

例えば、1000Hzの音は1秒間に1000回、空気を前に押し、後ろへ引きます。

100Hzの場合は100回です。

この回数が多ければ多いほど、空気の摩擦が増え音が減衰します。

この現象は、屋外のライブなどで、遠くでは低音しか聴こえず、ある程度近づくと上モノが聴こえてくるということから実感できるでしょう。

この法則をミキシングに適用すれば、ミックスの中で音を前に出すには高域成分を増やし、音を後ろに下げるには高域成分を減らせばよいということになります。

具体的なやり方としては、イコライザーなどで高域をブースト/カットします。

高域をブースト/カットする場合は、イコライザーのハイ・シェルフ・フィルターを使って高域を調整すればよいでしょう。

エンハンサーやエキサイターで高域成分を増やすことでも、音を前に出すことができます。

このようにして、周波数特性を調整することでミックスに奥行きや立体感をつくることができるのです。

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トランジェント

音のトランジェントが鋭いと音は前に出てき、鈍いと音は後ろへ下がります。

音の位置
トランジェント

トランジェントとは、音の立ち上がりの部分です。

例えば、スネアを叩いた瞬間の音の鳴り始めや、ピアノの鍵盤を弾いた瞬間の音の鳴り始めの部分です。

トランジェントの鋭い音は前にあるように感じられます。

例えば、スネアやシンバル、アコギ、ピアノなどは音の立ち上がりがはっきとしていて鋭いので、前にあるように聞こえます。

トランジェントの鈍い音は後ろにあるように感じられます。

例えば、バイオリンなどのストリングスやシンセのパッドなどは、音の立ち上がりが弱いので、後ろにあるように聞こえます。

音のトランジェントを調整するには、トランジェント・シェイパーやコンプレッサーが有効です。

トランジェント・シェイパーでアタックを増幅すれば、音は前に出てきます。

減衰させれば、音は後ろへ下がります。

コンプレッサーのアタックタイムを長めにとれば、音の立ち上がりが強調され、音は前に出てきます。

アタックタイムを短くして、音の立ち上がりをつぶせば、音は後ろへ下がります。

このようにして、トランジェントを調整することでミックスに奥行きや立体感をつくることができるのです。

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残響成分

音の残響成分が多いと音は奥へいき、少なければ前に出てきます。

音の位置
残響成分

音源が近くにあれば、音源からの直接音が反射音に対してかなり大きくなります。

遠くにあると直接音は反射音より少し大きいだけになります。

つまり、残響成分が小さければ音は前に出てき、大きければ音は後ろへ下がります。

具体的なやり方としては、音源を奥に置くには、モノ・リバーブを長いディケイタイムで使用します。

そして、リバーブ成分の高域をカットしましょう。

プリ・ディレイ・タイムは短めにしましょう。

これにより音は奥へ下がります。

音源を前に出すには、ステレオ・リバーブを短いディケイ・タイムで使いましょう。

そして、左右に拡がりすぎないようにステレオ幅を狭めましょう。

直接音がリバーブ成分に埋もれて後ろへ下がらないようにプリ・ディレイ・タイムは長めにしましょう。

50~100msぐらいがよいでしょう。

これで音は前に出てきます。

リバーブ成分は、多すぎると音の定位が不明瞭になります。

またこもった音になりやすいです。

リバーブのかけすぎは、ミクッスが素人っぽくなる原因になるので、注意しましょう。

このようにして、残響成分を調整することでミックスに奥行きや立体感をつくることができるのです。

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おすすめプラグイン

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Pro-R / fabfilterは、分かりやすいパラメーターで初心者の方でもかんたんに使えるリバーブプラグインです。

「Distance(距離)」というパラメーターを調整することで、音源を前に出したり後ろに下げたりできます。

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まとめ

このように4つの要素、音量、周波数特性、トランジェント、残響成分を適切に調整することで奥行きや立体感のあるミックスをつくることができます。

簡単にまとめておきます。

音の位置
音量
高域成分
トランジェント
残響成分

音を前へ出す

  • 音量を大きくする
  • 高域をブーストする
  • トランジェントを鋭くする
  • リバーブ成分を減らす

音を後ろへ下げる

  • 音量を小さくする
  • 高域をカットする
  • トランジェントを鈍くする
  • リバーブ成分を増やす

ミックスに奥行きや立体感つくることは、ミキシングのクオリティを飛躍的に高めます。

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