MS処理とは、通常の左右に分かれているステレオのオーディオ信号を、センター成分とサイド成分に変換してから、センターとサイドを別々にエフェクト処理することです。
この記事では、MS処理の仕組みや使い方について解説し、おすすめVSTプラグインソフトを紹介します。
MS処理とは?
img_box img_name=”MsProcessing_02_C.png” img_text=”ms処理 msプロセッシング mid side ms processing MS処理(Mid Side Processing: MSプロセッシング)とは、通常の左右(Left/Right)に分かれているステレオのオーディオ信号を、センター(Mid)成分とサイド(Side)成分に変換してから、個別にエフェクト処理をすることです。
![ms処理 msプロセッシング mid side ms processing” link_text=”” link_url=””] MS処理を使えば、真ん中とサイドの成分に別々の処理をほどこすことができ、ステレオ感をワイドにしたり、スペースを適切に割り振ったりすることができます。
MS変換の仕組み
Mid成分はLとRの共通の成分です。
Mid成分は、LとRの平均値を計算して取り出すことができます。
サイド成分は、LまたはRとMid成分との差を計算して取り出せます。
M = (L + R) / 2 S = (L – M) / 2 Mid成分とSIde成分に別々の処理をほどこした後で、MSからLRに変換します。
L = M + S R = M – S
MS処理の使い方
MSの音量バランスを変える
サイド成分の音量を上げれば、ステレオ感が左右に広がります。
サイド成分の音量を下げれば、スレレオ感は狭くなりモノラルに近づきます。
サイド成分をゼロにすれば、完全なモノラルになります。
リバーブ用のトラックのサイド成分を上げれば、リバーブをよりワイドに鳴らすことができます。
同時に、音の多いセンターがリバーブ成分で濁るのを防ぐこともできます。
MS別々にEQをかける
MS成分に対して、個別にEQをかければ、LRのステレオではできない様々な調整ができます。
低域をモノにする
低域のサイド成分をカットして、ローエンドをモノラルにすれば、スッキリとした安定感のあるローエンドをつくることができます。
ボーカルのためのスペースをつくる
ピアノやギター、パッドシンセなどのパートのセンター成分の高域を下げれば、真ん中にボーカル用のスペースを空けることができます。
キック、ベースのためのスペースをつくる
ピアノやギター、パッドシンセなどのパートのセンター成分の低域を下げれば、キックやベースを前に出すためのスペースをつくることができます。
リバーブによるこもりを解消する
リバーブ用のAUXトラックのセンター成分の中低域をカットすれば、ミックスのこもりの原因となりやすい100~500Hzをすっきりとさせ、キックやベースをよりクリアに鳴らすことができます。
同時に、リバーブ成分がよりワイドに広がります。
MS別々にコンプをかける
MS成分に対して、個別にコンプレッサーをかければ、LRのステレオではできない様々な調整ができます。
例えば、Mid成分のみにコンプをかければ、キックなどの真ん中に置いいてるパートでコンプがトリガーされたときに、サイドの成分も圧縮されてしまうのを防ぐことができます。
MS処理対応のおすすめVSTプラグインソフト
Pro-Q3 / FabFilter
Pro-Q3 / FabFilter は、MS処理対応のイコライザープラグインです。
バンドごとにLRまたはMSを選択できます。
Pro-C2 / FabFilter
Pro-C2 / FabFilter は、MS処理対応のコンプレッサープラグインです。
Saturn / FabFilter
Saturn / FabFilter は、1~6バンドのマルチバンドサチュレーターです。
MS処理が可能で、Mid/Sideで異なる強さのサチュレーションをかけることができます。
H-EQ Hybrid Equalizer / Waves
H-EQ Hybrid Equalizer / Waves は、MS処理対応の、パラメトリック・イコライザーです。
収録バンドル: Mercury
F6 Floating-Band Dynamic EQ / Waves
F6 Floating-Band Dynamic EQ / Waves は、MS処理対応のダイナミック・イコライザーです。
レンジをゼロに設定すれば普通のイコライザーとしても使えます。
収録バンドル: Mercury