Subharmonicon / Moog モーグの新モジュラーシンセのレビュー

Moog(モーグ)が、2020年5月に2音パラフォニックのセミモジュラーシンセ Subharmonicon(サブハーモニコン)を発表しました。 2つのメインオシレーターに加え、それぞれ2つずつのサブハーモニックオシレーターを搭載しています。 2つのオシレーターに割り当てられた、2系統の4ステップシーケンサーを搭載しています。シーケンサーはクロックを分割することで、ステップの進むスピードを変化させられ、複雑なポリリズムを生成することができます。 価格は約10万円。近日中に発売開始予定です。 Subharmonicon は、2018年にMoogのワークショップで限定発売されたものの、マスプロダクションバージョンです。2018年のバージョンとは、インターフェースのレイアウトが変わっています。

Subharmonicon の特徴

Subharmonicon の特徴的な機能は、メインオシレーターの整数分の1の周波数のハーモニーを生成するサブオシレーターと、複雑なポリリズムが可能な2系統の4ステップシーケンサーです。 Subharmonicon のインターフェースは4つのセクションで構成されています。左端にシーケンサー、真ん中に2つのオシレーター、その右にフィルター、ボリューム、エンベロープ、右端にパッチベイです。
2 x(メイン + 2サブ)オシレーター

Subharmonicon には、2系統のオシレーターが搭載されています。それぞれ、メインのオシレーターと2つのサブオシレターで構成されています。 サブオシレーターでは、メインのオシレーターの周波数に対して、サブハーモニーを生成できます。サブハーモニーとは、メインオシレーターの周波数を割った周波数の音のことです。1~16までの整数で、メインオシレーターの周波数を分割できます。 例えば、メインのオシレータが1000Hzの場合、サブオシレーターを1/2に設定すれば500Hz、1/3に設定すれば333Hzの音を生成できます。 オシレーターの波形は、矩形波、ノコギリ波、またはメインに矩形波とサブにノコギリ波の組み合わせの3つのオプションが用意されています。
パラフォニック
2つのメインオシレーターは、別々の音程を演奏できます。フィルター、アンプは1系統のみの2音パラフォニックです。
2 x 4ステップシーケンサー

2系統の4ステップシーケンサーが搭載されています。各シーケンサーはそれぞれ、2つのオシレーターセクションに割り当てられています。 シーケンサーをメインオシレターにルーティングした場合は、メインオシレーターのピッチを変更します。連動してサブオシレーターのピッチも変化します。 シーケンサーをサブオシレターにルーティングした場合は、サブオシレーターがメインオシレーターの周波数の何分の1の周波数になるかを変化させます。 シーケンサーのルーティングは、オシレーターセクションの中段にあるボタンで設定します。メインオシレーターと2つのサブオシレーターそれぞれに、シーケンサーをルーティングするかどうかを設定できます。 シーケンサーセクションの下段は、Polyrhythmセクションで、シーケンサーのクロックディバイダーの設定を行います。各ステップに対して、クロックのスピードを1~16の整数で割ることができます。例えば、クロックディバイダーを1/4に設定すれば、そのステップは通常の4倍の時間をかけて進むことになります。 2系統のシーケンサーのうちどれに対して、クロックディバイドを行うかどうかは、Polyrhythmセクションのつまみの下のボタンで設定します。
ラダーフィルター
Moog のおなじみの24dB/Oct のローパス・ラダーフィルターを搭載しています。
2x ADエンベロープ
アンプ用とフィルター用の2つのエンベロープジェネレーターを搭載しています。パラメーターは、アタックとディケイのみです。
32のパッチポイント

17入力、15出力の合計32のパッチポイントがあります。Subharmonicon内部の信号のルーティングを変更したり、外部のモジュラーシンセと信号を送受信したりすることができます。
ユーロラックフォーマット
Moog社のMother-32やDFAMと同様に、60HPのEurorackフォーマットに準拠しており、アルミレール、木製のサイドピース、豊富なパッチベイを備えています。 Moog社のシンセのみでなく、他社のユーロラックフォーマットのモジュラーシンセと連携して使うことができます。
まとめ
Subharmonicon / Moog は、2つのサブオシレーターをもつ2系統のオシレーターと、複雑なポリリズムが可能な2系統の4ステップシーケンサーを搭載したセミモジュラーシンセです。 機能的にかなりマニアックなシンセサイザーのため、アナログシンセやモジュラーシンセの初心者の方にはおすすめではありません。すでに、より一般的な機能のモジュラーシンセを持っている方が、既存のセットアップを拡張するために導入するのにおすすめです。

モジュラーシンセの初心者の方は、Moog社のシンセであればMother-32が、オーソドックスな機能のシンセのためおすすめです。

Moogのおすすめシンセについては、こちらを参照してください。