パン(Pan)とは、音の水平方向の位置を決めることです。 この記事では、パンニングの仕組みややり方について解説します。
音源の方向はなぜ分かるのか
人は音がどこで鳴っているかを、左右の耳に届く音の音量差、時間差、周波数特性の違いによって識別しています。
例えば、音源が左側にあれば、左耳には大きく右耳には小さく、左耳には早く右耳には遅れて、左耳には明るく右耳には少しこもって聴こえます。
音源と耳との距離は、左耳のほう近く、右耳はより遠くなります。
右耳のほうが遠い分、音量は減衰し、時間は遅れて聴こえます。
また、音源と左耳の間には遮るものがなく、音が耳に直接届きます。
しかし、音源と右耳の間は頭で遮られるため、高域が減衰して聴こえます。
このようして、左右の耳に届く音の特性の違いが生じ、その違いにより音の方向が分かります。
パンの仕組み
DAWのパンは、左右のスピーカーから出る音の音量によって、音の水平方向の定位をつくりだしています。
左右のスピーカーから出る音の音量が等しければ、定位は真ん中になります。
左スピーカからの音のほうが大きければ定位は左に、右スピーカーからの音のほうが大きければ定位は右になります。
パンニングの目的
パンニングの目的は、各パートをステレオ・イメージの中に配置することです。
音を適切に配置することで、拡がりのあるクリアな音像をつくりだせます。
拡がりのある音像は、リスナーに没入感を与えられます。
また、各パートを適切に配置すれば、それぞれのパートにスペースを確保できます。
複数のパートが重なり不明瞭でごちゃごちゃした音像になることを防ぎ、クリアな音像をつくれます。
パンニングのやり方
重要なパートと低域はセンターに配置する
重要なパートと低域のパートは真ん中に置きましょう。
最も重要なパートであるメイン・ボーカルと、曲の土台となるキック、スネア、ベースです。
低域を真ん中に置くことで、しっかりとした安定感のあるミックスになります。
バック・コーラスは左右に拡げたほうがよいでしょう。
左右にバランスよく配置する
左右のバランスのとれたステレオ・イメージをつくりましょう。
同じ帯域で鳴っているパートを左右に配置しましょう。
例えば、ピアノとシンセなどです。
これにより、複数のパートが同じ帯域でかぶり音が不明瞭になるのを防げます。
パーカッシブな要素は左右にバランスよく分けましょう。
ハイハットやカウベルなどを、音の頻度が左右どちらかに偏りすぎないように配置しましょう。
モノ互換性をチェックする
ときどきモノラルにして、音がくずれないかチェックしましょう。
クラブのPAシステムなどでは、モノラルで再生さるからです。
スコープを使う
ベクトル・スコープやコリレイション・メーターを使うと、音の拡がりを視覚的に確認できます。
まとめ
パンを適切に設定すれば、あなたのミックスは拡がりのあるクリアなサウンドになります。
さまざまなパンニングを試して最適なステレオイメージをつくりましょう。