この記事では、
- DAWの選び方
- DTM初心者におすすめのDAW5選
- その他のDAW
について解説します。 「DTMを始めたいけど、どのDAWを選べばよいか分からない」 という方は、ぜひ参考にしてください。
DAWとは
DAWとは、Digital Audio Workstation(デジタル・オーディオ・ワークステーション)の略で、音楽制作のための統合型ソフトウェアのことです。
作曲から、最終的なオーディオ・ファイルの作成まで、音楽制作に関する、ほぼ全ての作業をこなすことができます。
DAWについて、詳しくは下記の記事を参照してください。
DAWの選び方・チェックポイント
DAWは、基本的にはどれも出来ることは同じです。
どのDAWを使ってもどんな音楽でもつくることができます。
違うのは画面のレイアウトや操作性、細かな機能などです。
しかし、それぞれ特徴がありつくる音楽によって向き不向きがあります。
自分に合ったDAWを選ぶことが重要です。
DAWを選ぶ際のチェックポイントについて解説します。
シェアが高いDAWを選ぶ
DAW初心者の方は、シェアの高いDAWを選んでおいたほうがよいです。
シェアの高いDAWであればチュートリアルなどの情報が豊富で、初心者でも安心して使用できます。
Ask.Audio によると世界のDAWのシェア・ランキングは下記のようになっています。
- Live – 20.52%
- Logic – 19.20%
- Pro Tools – 16.13%
- Cubase – 10.43%
- FL Studio – 6.40%
- Studio One – 5.71%
- Reason – 4.98%
- Reaper – 4.96%
- Sonar – 3.01%
- GarageBand – 2.22%
- Bitwig Studio – 1.22%
- Digital Performer – 0.94%
Top 12 Most Popular DAWs (You Voted For) : Ask.Audio
OS: WindowsでもMacでもよい
主要なDAWのほとんどは、WindowsとMacのどちらでも使えます。LogicはMacでしか使えません。
Windows, Mac両方に対応
- Cubase
- Studio One
- Live
- FL Studio
- Pro Tools
Macのみに対応
- Logic
作りたい音楽のジャンルに合ったDAWを選ぶ
DAWには、音楽のジャンルや作り方によって、作業のしやすさ面で向き不向きがあります。
自分が作りたい音楽のジャンルで、よく使われているDAWがあれば、そのDAWを使うことをおすすめします。
Youtubeでチュートリアル動画やアーティスト、プロデューサーによる解説動画などを探してみれば、どのジャンルで、どのDAWがよく使われているか分かります。
DAWは、大きく分けてオールジャンル向きのもと、ダンスミュージック向きのものとがあります。
オールジャンル向きのDAWは、オーソドックな操作性で、ポップス、ロックからエレクトロニックミュージック、ヒップホップまで、どんなジャンルにも適しています。
オールジャンル向きのDAWは、Logic、Cubase、Studio One です。
ダンスミュージック向きのDAWは、エレクトロニックミュージック、ヒップホップなど繰り返しを多用するダンスミュージックに適しています。
ダンスミュージック向きのDAWは、Live、FL Studio です。
オールジャンル
- Cubase
- Studio One
- Logic
ダンスミュージック
- Live
- FL Studio
付属音源・エフェクトは別売りのものを追加できる
DAWには、最初からシンセサイザーやピアノなどの音源やエフェクトなどのプラグインが多数付属しています。
音源とは、ギターやドラムなどの音を出すものです。
エフェクトとは、音を加工するものです。
どのDAWでも、基本的な音楽制作に必要なものは付属していますが、DAWによりプラグインの種類、質、量などが異なるので、自分が欲しいものが付属しているかチェックしておきましょう。
音源やエフェクトは、他社から出ている別売りのより高機能なものやものを追加して使うことができます。
DTMが上達してくると、DAW付属のプラグインは、あまり使わなくなってくるので、付属音源・エフェクトはそれほど重視する必要はありません。
おすすめDAW
まず、世界でも日本でもシェアの高い主要な5つのDAWを紹介します。
これらの5つのDAWは、いずれも国内、海外でシェアが高い人気のDAWです。
チュートリアル動画などがたくさんあるので、初心者の方でも安心して使用できます。
- Cubase (日本でシェア1位。ポップス、ロック向け。ボカロユーザーに人気)
- Studio One (ポップス、ロック向け)
- Logic (ポップス、ロック向け。Apple社製でMac専用)
- Live (世界シェア1位。テクノ、EDM向け)
- FL Studio (トラップ、ヒップホップ、テクノ、EDM向け)
その後で、その他のDAWを紹介します。これらのDAWは、レコーディングスタジオ向けであったり、シェアが低かったりするためDTM初心者向けではありません。
- Pro Tools (レコーディングスタジオの業界標準。レコーディング・ミキシングエンジニア向け)
- Bitwig (Liveと似ている。テクノ向け)
- Reason (アナログ機器風の独特のインターフェイス)
- Digital Performer (オールジャンル向け)
- Reaper (安い。軽い)
Cubase 12 / Steinberg
国内シェアNo.1の定番DAW
Cubaseの特徴
- オールジャンル向け
- 国内シェアNo.1
- 日本語でのサポートが充実
- ケロ声をつくれるピッチ補正機能Vari Audioを内蔵
- Windows, Mac対応
国内シェア1位で情報が豊富
Cubase / Steinberg (キューベース/スタインバーグ)は、国内シェアが1位のDAWです。日本でのユーザー数が多く、日本語の情報が多いのでDTM初心者の方に最適です。
日本語でのサポートが充実
Cubaseを開発しているSteinberg社はドイツの会社ですが、日本の楽器メーカーのヤマハの子会社であるため日本語でのサポートが充実しており、初心者の方でも安心して使用できます。
オールジャンルに適したオーソドックスなDAW
Cubaseは、クセのないオーソドックスなタイプのDAWで、ロック、ポップスからダンス・ミュージックまで、オールジャンルの音楽制作に適しています。
音源・エフェクトが充実
サンプリング式シンセの Halion Sonic SE 3、ウェーブテーブルシンセの Flux、アナログモデリングシンセの Retrologue 2、ドラム音源 Groove Agent SE など本格的な音楽制作ができる音源が内蔵されています。
音楽制作に必須のエフェクトは一通りそろっている上、音圧を上げて迫力のある音にする Maxmizer、あたたみある存在感のある音がつくれるアナログ系エフェクトも Vintage Compressor、Tube Compressor、Channel Tape Saturation、Channel Tube Saturation などが搭載されています。
コード進行作成補助機能
コードアシスタント機能はAI(人工知能)でコード進行を提案してくれる上、ワンクリックでいろいろなコードを入力できます。
コードアシスタント機能を使えば、コード理論に詳しくない人でも、簡単なコード進行を複雑なコード進行、おしゃれなコード進行に変えることができます。
ピッチ補正機能 Vari Auido を内蔵
ボーカルなどのピッチ(音程)を補正するピッチ補正エフェクト Vari Audio が搭載されています。
自然なピッチ補正だけでなく、ロボット的なケロ声もつくることができます。
Vari Audio とコード機能と組み合わせると歌のハモリを自動で作成できます。
ボカロに最適
Cubase上で使える VOCALOID Editor for Cubase という別売りのソフトを使用すれば、効率よくボーカロイドの打ち込みができます。
Cubase の主な音源
Halion Sonic SE 3
Halion Sonic SE 3 は、オールジャンルに使えるプレイバックサンプラー&シンセサイザーです。
Groove Agent SE
Groove Agent SE は、アコースティックドラムからエレクトロニックビートまで幅広くカバーするドラムサンプラー Groove Agent の簡易版です。
Retrologue 2
Retrologue 2 は、温かみのある図太い音を再現するバーチャルアナログシンセサイザーです。
Flux
Flux は、エレクトロニック・ミュージックに最適なウェーブテーブルシンセサイザーです。
Cubase はこんな方におすすめ
- Windowsユーザーの方
- 日本語でのチュートリアル、解説などの情報を求める方
- オールジャンルに適した、オーソドックスなDAWを使いたい方
- 作曲初心者で作曲支援機能を使いたい方
- Vocaloidを使う方
Cubase の各グレードの違い
Cubase には、Pro、Artist、Elements、AI、LEの5つのグレードがあります。
グレード | 価格 | 特徴 |
Professional | 62,700円 | フル機能版 |
Artist | 35,200円 | 機能制限版。DTM初心者におすすめ |
Elements | 13,200円 | 機能制限版。DTM初心者におすすめ |
AI | Yahama, Steinbergのハードウェアに付属 | 機能制限版。 |
LE | 他社のハードウェアに付属 | 機能制限版。 |
各グレードの詳しい比較については、下記の記事を参照してください。
Studio One 6 / PreSonus
シェア急上昇中のDAW
Studio One の特徴
- シェア急上昇中
- オールジャンル向け
- 動作が軽い
- ケロ声をつくれるピッチ補正ソフトMelodyneを内蔵
- 別のアレンジ・ミックスを試せるスクラッチパッド
- マスタリング機能を搭載
- Windows, Mac対応
シェアが急上昇中の新興DAW
Studio One / PreSonus(スタジオワン/プリソーナス)は、元Cubaseの開発者により開発された比較的新しいDAWです。
PreSonus社から2009年に発売されました。
Cubaseの最初のバージョンは1989年に発売されました。
後発のDAWにもかからわず急速にシェアを伸ばしていて、Cubaseと同じぐらいのシェアになってきているので初心者の方でも安心して使用できます。
オールジャンルに適したオーソドックスなDAW
Cubaseと同様にオードドックスなタイプのDAWで、ロック、ポップスからダンス・ミュージックまで、オールジャンルに使用できます。
低価格
Studio One は、Cubaseと比べると価格が安いです。
もちろん、機能的にはCubaseと同クラスの機能があります。
Windowsユーザーで低価格なオーソドックスなタイプのDAWを求める方におすすめです。
動作が軽い
後発DAWのためムダなコード(プログラム)がなく、ソフトのサイズが小さく動作が軽いため低スペックのパソコンでも快適に使えます。
ピッチ補正ソフト Melodyne を内蔵
定番のピッチ補正ソフト Melodyne の簡易バージョン Melodyne Essential を内蔵しています。ボーカルのピッチを補正したり、ケロ声をつくったりすることができます。
コード解析機能
オーディオクリップやMIDIクリップのコードを解析して表示することができます。コード進行の耳コピが苦手な方などに便利な機能です。
別のアレンジ・ミックスを試せるスクラッチパッド
1つのファイル内でアレンジやミックスのAパターン、Bパターンを作成して比較できるスクラッチパッドが搭載されています。
マスタリング機能を搭載
CD制作時に必要なDDP形式での書き出し機能など、他のDAWにはないマスタリング機能を搭載しています。
Studio One の主な音源
Impact XT
Impact XT はドラム用サンプラーです。
Sample One XT
Sample One XT は多機能なサンプラーです。リアルタイム・サンプリング、自動スライス、ストレッチなどが可能です。
Mojito
Mojito は、モノフォニックのアナログモデリングシンセサイザーです。
Mai Tai
Mai Tai は、モノフォニックのアナログモデリングシンセサイザーです。
Presence XT
Presence XT は、多機能なサンプルプレイヤーです。
Studio One はこんな方におすすめ
- Windowsユーザーの方
- オールジャンルに適した、オーソドックスなDAWを使いたい方
- 低コストでDAWを使いたい方
- 動作の軽いDAWを求める方
- CD用のマスタリングを行いたい方
Studio One の各グレードの違い
Studio One には、Professional、Artist、Primeの3つのグレードがあります。
グレード | 価格 | 特徴 |
Professional | 約45,000円 | フル機能版 |
Artist | 約15,000円 | 機能制限版。DTM初心者におすすめ |
Prime | 無料 | 機能制限版。ほぼ実用性なし |
各グレードの詳しい比較については、下記の記事を参照してください。
Logic Pro X / Apple
Macユーザーにおすすめ
Logic の特徴
- Mac専用
- 低価格
- オールジャンル向け
- ピッチ補正機能を内蔵
- フリー版GarageBandがある
- 日本・海外のどちらでも高いシェア
Mac専用
Logic Pro X / Apple (ロジックプロ/アップル)は、iPhoneやiMacなどでおなじみのApple社製のDAWです。
Apple社の製品であるため、Macでしか使用できません。
Windowsでは使えません。
低価格
Logic は、主要なDAWの中でもっとも価格が安いです。
もちろん低価格だからといって性能が劣るわけではなく、完全にプロ使用のDAWです。
CubaseやStudio Oneの最高グレードの製品と同程度の機能があります。
オールジャンルに適したオーソドックスなDAW
Cubase、Studio One と同様にオードドックスなタイプのDAWで、ロック、ポップスからダンス・ミュージックまで、オールジャンルに使用できます。
音源・エフェクトが充実
ソフトシンセ、ドラムマシンなどの音源や、サンプラー、エフェクト、ループ素材などが充実しており、サードパーティーのプラグインを追加しなくても、Logicのみで本格的な音楽制作ができます。
中でも、ソフトシンセのAlchemy は多機能で、Alchemyひとつで幅広い音色を出すことができます。
ピッチ補正機能
ボーカルなどのピッチ(音程)を補正する機能が搭載されています。自然なピッチ補正だけでなく、ロボット的なケロ声もつくることができます。
フリー版GarageBandがある
Logicにはデモ版はありませんが、Logic の簡易版にあたるGarageBandが無料で使用できます。
GarageBandで制作したプロジェクトのファイルは、Logicで開くことができるので、まずGarageBandを試してみるのもよいでしょう。
GaregeBandはMacに最初からインストールされています。
日本・海外のどちらでも高いシェア
日本でも海外でもシェアが高く、情報を見つけやすいので初心者の方に最適です。
Logic の主な音源
Alchemy
Alchemy は、万能のサンプラー・シンセサイザーです。アナログモデリング、加算、スペクトル、フォルマント、グラニュラー合成にサンプリング式を組み合わせています。
EXS24
EXS24 は、サンプラーです。ピアノ、ギター、オーケストラ、ベース、ドラムなど様々な音色が収録されています。
Retro Synth
Retro Synth は、アナログモデリング合成、ウェーブテーブル合成、FM合成を切り替えて使用できるシンセサイザーです。
Sculpture
Sculpture は、物理モデリング式のシンセサイザーです。
Drum Machine Designer
Drum Machine Designer は、ドラム用サンプラー・シンセサイザーです。
Drum Kit Designer
Drum Kit Designer は、ロックなどに適した生ドラムのドラム音源です。
Logic はこんな方におすすめ
- Macユーザーの方
- オールジャンルに適した、オーソドックスなDAWを使いたい方
- 低コストでDAWを使いたい方
Logic のグレード
LogicのグレードはProのひとつのみです。
~~また、体験版・デモ版もありません。
代わりにLogicの簡易版にあたるGarageBandがあります。
GarageBandはMacに始めからインストールされています。
~~ 現在は、Logic Pro X は、機能制限なしの体験版が90日間無料で使えます。
下記リンクのアップルの公式サイトからダウンロードできます。
グレード | 価格 |
Logic Pro X | 約24,000円 |
Live 11 / Ableton
ダンスミュージックの制作・ライブに最適
Live の特徴
- 世界シェア1位のDAW
- ダンスミュージックのライブ・制作に最適
- ループをリアルタイムに並べ替えて再生できるセッションビュー機能
- 専用ハードウェアが充実
- プラグインを自作できるMax for Live
- 高価格
- Windows, Mac対応
Live 11 / Ableton(ライブ/エイブルトン)は、エレクトロニックミュージックの曲作りやライブ演奏に最適なDAWです。ドイツのAbleton社が開発しています。
世界シェア1位のDAW
Liveは、海外で最もシェアの高いDAWです。特にエレクトロニックミュージックなどのミュージシャン、プロデューサーに人気です。
ダンスミュージックのライブ・制作に最適
Live は、その名のとおりライブでの使用を前提として設計されている点で、CubaseやLogicなどの他のDAWと大きく異なります。
Liveには一般的なDAWにある左から右に一方向に時間が進んでいく「アレンジビュー」に加えて、オーディオまたはMIDIのループ素材(クリップ)を組み合わせて、曲をリアルタイムに即興的に構築していける「セッションビュー」があります。
セッションビュー機能はループを多用する音楽と相性がよく、Liveはエレクトロニックミュージックを制作するミュージシャン・プロデューサーに特に人気があります。
ポップス、ロックなどのループをあまり使用しないジャンルには向いていません。
作曲・アレンジ時に様々なパターンを試しやすい
セッションビュー機能は、曲作り時に様々なアイデアを試すのにも適しています。異なるメロディーやリズムなどを作成して、比較することが簡単にできます。
付属音源・エフェクトが充実
ウェーブテーブル式シンセのWavetable、減算・加算・FM合成式のOperator、アナログモデリング式のAnalogなどのソフトシンセや、サンプラーと多量のサンプル素材が内蔵されています。
エフェクトも音楽制作に必要なものは、一通りそろっています。
Liveのみですぐに本格的な音楽制作を始められます。
専用・対応コントローラーが充実
Liveには、Ableton純正のPush や、Novation / Launchpad、Akai / APCシリーズなどのAbelton Live 専用・対応のMIDIコントローラーが充実しています。
ハードウェアのコントローラーを用いた直感的な曲作りや、ライブでの使用に便利です。
プラグインを自作できるMax for Live
Live の最上位グレードである Live Suite には、Max For Live が搭載されています。
Max For Live とは、Cycling74が開発しているヴィジュアル・プログラミング・ソフト Max をLive内で使えるようにした機能です。
Max では、一般的なプログラミング言語と異なり、グラフィカルなインターフェースで部品をつないでいくことで、オーディオ・ビジュアル系のソフトをつくることができます。
Max For Live を使えば、Live内で使えるプラグインを自作することができます。
また、Max For Live デバイスは、有料・無料で多数配布されており、それらのデバイスを利用することもできます。
高価格
Liveは、DAWの中でもっとも価格が高いです。
Live の主な音源
Wavetable
Wavetable は、ウェーブテーブルシンセです。SerumやMassive Xほど多機能ではありませんが、ウェーブテーブルシンセの基本的な機能は備えています。
Operator
Operator は、減算、加算、FMを合体させたシンセです。
Analog
Analog は、アナログモデリングシンセです。
Simpler
Simpler は、シンプルなサンプラーです。
Sampler
Sampler は、多機能なサンプラーです。
Collision
Collision は、万能型の物理モデリングシンセです。
Drum Rack
Drum Rack は、これ自体は音源ではなく、Drum Rackの各パッドにSimplerなどをアサインして使うものです。
Live はこんな方におすすめ
- エレクトロニックミュージックなどのライブにDAWを使いたい方
- エレクトロニックミュージック、ヒップホップなどのループを主体とした曲をつくる方
- 作曲・アレンジ時に様々なアイデアを試したい方
Live の各グレードの違い
Live には、Suite、Standard、Intro、Liteの4つのグレードがあります。
グレード | 価格 | 特徴 |
Suite | 90,800円 | フル機能版 |
Standard | 53,800円 | 機能制限版。DTM初心者におすすめ |
Intro | 11,800円 | 機能制限版。ほぼ実用性なし |
Lite | ハードウェアに付属 | 機能制限版。ほぼ実用性なし |
各グレードの詳しい比較については、下記の記事を参照してください。
FL Studio 20 / Image Line
ヒップホップに最適
FL Studio の特徴
- ヒップホップ(トラップ)向け
- リズムパターンを簡単に打ち込めるステップシーケンサー機能
- 複雑なリズムも効率よく打ち込める使いやすいピアノロール
- 低価格・アップデートが永遠に無料
- 海外での高いシェア
- Windows, Mac対応
FL Studio / Image Line(エフエルスタジオ/イメージライン)は、ヒップホップやEDMなどの音楽に最適なDAWです。ベルギーのImage Line社が開発しています。
ヒップホップ・トラップ向け
FL Studioは、トラップ系のビートメイカー・プロデューサーに大人気のDAWです。
トラップ(Trap)とは、ヒップホップのサブジャンルのひとつで、特徴的な複雑なリズムパターンを用います。
YouTubeのビートメイキング動画などでも、ほとんどのビートメイカーがFL Studioを使用しています。
YouTubeには、FL Studioを用いたヒップホップのトラック作成のチュートリアル動画が非常にたくさんあります。
FL Studio は、オーソドックスなDAW(Cubase、Studio One、Logic)と操作性がかなり異なります。
ヒップホップ・トラップ系やEDMなどのダンスミュージックには向いていますが、ポップス、ロック系などには不向きです。
リズムを簡単に打ち込めるステップシーケンサー
FL Studioは、ボタンをポチポチ押していくだけでリズムパターンが打ち込めるステップシーケンサーを搭載しています。
直感的に効率よくリズムを打ち込むことができます。
多機能で効率的なピアノロール
FL Studioのピアノロールは、多機能で使いやすく効率よくリズムパターンを打ち込むことができます。
トラップなどでよく用いられるハイハットを複雑に連打するパターンの作成・修正などが簡単にすばやく行えます。
また、コードをワンクリックで打ち込める機能などもあります。
MIDIの打ち込みをメインに曲作りをする方に向いています。
低価格
FL Studioは、価格が比較的安いDAWです。
また、ライフタイムアップデートという制度を採用しており、一度FL Studioを購入すると、永遠に無料で最新バージョンにアップデートすることができます。
長い目でみると、もっともコスパのよいDAWといえます。
FL Studio の主な音源
Flex
Flex は、減算合成、Wavetable合成、サンプリング式、FM&AM合成を使用したシンセサイザーです。
ゼロから音をつくっていくのではなく、プリセットを選んで調整するタイプなので初心者の方でもかんたんに使えます。
FL Studio はこんな方におすすめ
- ヒップホップ、トラップ、R&Bなどのビートメイキングをする方
- EDMなどのダンスミュージックをつくる方
- 外部オーディオの録音を使わず、MIDIの打ち込み主体で曲作りをする方
- 低コストでフルスペックのDAWを使いたい方
FL Studio の各グレードの違い
FL Studioには、Fruity、Producer、Signatureの3つのグレードがあります。
Producerが標準となるグレードでFL Studioの基本的な機能はすべて搭載されています。
Fruityは、最下位のグレードでProducerからオーディオトラック機能を抜いたものです。
ボーカルやシンセなどの外部音源をFL Studioに録音したり、オーディオトラックにサンプルループを貼り付けたりすることはできません。
MIDIでの打ち込みのみとなります。
オーディオトラックなしで本格的な音楽制作をすることは難しいので、Fruityはおすすめではありません。
Signatureは、Producerに7つのプラグインを追加したものです。
追加されるプラグインには、スクラッチやノートリピート効果を出すGrossBeat、ピッチ補正エフェクトのNewToneなどが含まれます。
追加されるこれらのプラグインは、単品で購入するとかなり価格が高くなるので、SignatureとProducerの価格差があまりないことを考慮すると、最初からSignatureを購入するのがおすすめです。
グレード | FL Studio 20 Signature | FL Studio 20 Producer | FL Studio 20 Fruity |
価格 | 約30,000円 | 約23,000円 | 約13,000円 |
その他のDAW
上記の5機種以外のDAWを紹介します。
これらのDAWは、上記の5つのDAWと比べるとシェアが低く情報が少ないため初心者の方にはおすすめしません。
しかし、DAWのクオリティーが低いというわけではありません。
どれもプロの現場で使われている高品質なDAWです。
すでにDAWに慣れている方は、これらのDAWも選択肢となるでしょう。
Pro Tools / Avid Technology
エンジニア向けプロ用DAW
Pro Tools の特徴
- 業界標準のプロ用DAW
- ミキシングエンジニア向け
- オーディオ編集機能に優れる
- 対応プラグインが少ない
- Windows, Mac対応
Pro Tools / Avid Technology(プロツールス/アビッドテクノロジー)は、レコーディングスタジオの定番のプロ用DAWです。アメリカのAvid Technology社が開発しています。
業界標準のプロ用DAW
Pro Toolsは、レコーディング・ミキシングスタジオの定番の業界標準のプロ用DAWです。
エンジニア向け
Pro Toolsは、レコーディングエンジニアやミキシングエンジニアなどを目指している方に最適です。
業界標準の有名な製品のため、ミキシングのチュートリアル動画などでよく目にしますが、あくまでエンジニア向けの製品であり、打ち込みで曲作りをする方や、DTM初心者には、おすすめではありません。
オーディオ編集機能に優れる
Pro Tools は、オーディオの録音や編集、ミキシングなどに最適化されています。
MIDIの打ち込みなども出来ますが、打ち込みでの曲作り用にPro Toolsが使われることはほとんどありません。
バンド物などで生演奏の録音のみで音楽をつくる方、あるいは、自分で作成したデーターをレコーディングスタジオなどに持ち込んで作業する方に適しています。
価格がかなり高いこともあり、プロのエンジニアになることを目指している方以外は、Logic、Cubase、Studio One のほうがおすすめです。
対応プラグインが少ない
Pro Toolsは、プラグインの形式が、AAXというPro Toolsのみで使われるフォーマットで、一般的なプラグインフォーマットであるVST/AUのものと比べると、プラグインが少ないです。
Pro Tools はこんな方におすすめ
- レコーディング、ミキシングエンジニアを目指す方
- 打ち込みは使わず、ギターやボーカルなどの生録音のオーディオ素材の編集のみにDAWを使う方
- 商用スタジオに、Pro Toolsのセッションファイルを持ち込んで作業したい方
グレード | Pro Tools | Pro Tools First |
価格 | 約77,000円 | フリー |
Bitwig Studio / Bitwig
Bitwig Studio は、元Ableton社のエンジニアによってドイツ・ベルリンで設立されたBitwig社のDAWです。
2014年に最初のバージョンが発売された比較的新しいDAWです。
Ableton Liveと似たようなつくりのDAWで、Ableton Liveと同様にグリッド状の画面にループ素材を並べていくセッションビュー機能があります。
アレンジメントビューとセッションビューを1画面に表示させられるなど、Ableton Liveよりもフレキシブルなインターフェイスを採用しています。
The Grid というモジュラー環境があり、自分でシンセやエフェクトをつくることができます。
テクノなどのエレクトロニックミュージックの制作に向いています。
Ableton Liveより価格がかなり安いため、Ableton Liveを検討している方はBitwigもチェックしてみるとよいでしょう。
Reason 12 / Reason Studios
Reason 12 は、スウェーデン・ストックホルムのReason Studios(旧Propellerhead)社が開発しているDAWです。
アナログ機器をケーブルでパッチングしていくようなインターフェイスを採用しているため、アナログ機器の使い方を理解している方に最適です。
アナログモデルのルーティングとミキシング用のSSLコンソールを含む、スタジオクオリティのバーチャルインストゥルメントとエフェクトが多数搭載されているので、プロフェッショナルなサウンドの音楽を作るために必要なものがすべて揃っています。
さらに、Reason Storeでは、Reason Studiosや他の人気ソフトウェア開発者のRack Extensionsを追加して、プラグインライブラリを簡単に拡張できます。
Digital Performer 10 / MOTU
Digital Performer 10 は、アメリカのMOTU(Mark of the Unicorn)社が開発しているDAWです。
2019年リリースされたヴァージョン10で、Ableton Live のセッションビューとほぼ同じ機能の Clips Window 機能が搭載されています。
通常のタイムラインとクリップウィンドウを同時表示することもできます。
ポップス、ロックからダンスミュージックまで、オールジャンルに適したDAWです。
Reaper / Cockos
Reaper は、アメリカ・ニューヨークのCockos社によって開発されているDAWです。
非常に容量が小さく動作が軽いのが特徴です。
価格も非常に安いです。
CubaseやStudio Oneなどと同系統のオーソドックスなタイプのDAWで、オールジャンルの制作に適しています。
REAPER | Audio Production Without Limits
まとめ
おすすめのタイプをまとめます。
タイプ | DAW |
Windowsでポップス、ロック系 | Cubase, Studio One |
Macでポップス、ロック系 | Logic |
クラブミュージック | Live, FL Studio |
ヒップホップ | FL Studio |
初心者で、どれがいいか分からなければ、Windows なら Cubase、Studio One、Mac なら Logic が無難でおすすめです。
その他のDTM機材については、こちらを参照してください。