この記事では、定番のDAW「Cubase 11」の各グレード(Pro, Artist, Elements, AI, LE)の違いについて解説します。
この記事は、
- これからCubaseを買おうと思っている方
- すでに使っているCubaseからのアップグレードを検討している方
におすすめの内容です。
では、見ていきましょう。
5つのグレード

Cubaseには5つのグレードがあります。上位グレードから順に下記のようになります。
- Pro(62,700円)
- Artist(35,200円)
- Elements(13,200円)
- AI (スタインバーグ・ヤマハ製品に付属)
- LE (他社製品に付属)
上位の3グレード「Pro」「Artist」「Elements」は、有料版です。それぞれ単体で購入できます。
下位の2グレード「AI」「LE」はオーディオインターフェイスなどのハードウェアの付属品として無料で配布されているものです。単体での販売・配布はしていません。
「Pro」はフル機能が使える標準グレード、いわゆる「無印」にあたります。
グレードが下がるにつれて、より機能が減っていきます。
どのグレードも基本的に同じソフトなので、下位バージョンで作成したデータを上位バージョンで開くこともできます。
音質はどのグレードも同じです。

各グレードの違い
各グレードで機能が異なる部分の重要なところを抜き出した比較表です。
各グレードの大きな違いは、以下の3点です。
- トラック数
- 音源・エフェクト数
- ピッチ補正機能(ヴォーカル修正用)
グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
---|---|---|---|---|---|
オーディオトラック数 | 無制限 | 無制限 | 48 | 32 | 16 |
インストゥルメントトラック数 | 無制限 | 無制限 | 24 | 16 | 8 |
音源数 | 8 | 8 | 3 | 2 | 2 |
音源の音色数 | 3000 | 2600 | 1000 | 185 | 185 |
オーディオエフェクト数 | 79 | 60 | 47 | 28 | 23 |
MIDIエフェクト数 | 18 | 18 | 0 | 0 | 0 |
1トラックに使用できるエフェクト数 | 16 | 16 | 8 | 4 | 4 |
ピッチ補正(VariAudio) | ○ | ○ | – | – | – |
コンピング | ○ | ○ | – | – | – |
詳しい機能比較は、下記のCubase公式サイトを参照してください。
トラック数
グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
---|---|---|---|---|---|
オーディオトラック数 | 無制限 | 無制限 | 48 | 32 | 16 |
インストゥルメントトラック数 | 無制限 | 無制限 | 24 | 16 | 8 |
オーディオトラックは、歌やギターなどの生音を録音するためのトラックです。インストゥルメントトラックは、ソフト音源を鳴らすためのトラックです。
必要なトラック数は、作る音楽の種類により変わりますが、初心者のうちは8~16トラック程度で作ることが多いでしょう。プロの音源だと40~80トラックぐらいです。もちろん、もっと少ない場合も多い場合もあります。
オーディオトラックとインストゥルメントトラックの割合も、音楽の種類や作り方によって変わってきます。歌などの生音を録音しない場合は、基本的にインストゥルメントトラックのみでつくることになります。
LEだと、インストトラックが8しかないので、少し厳しいですね。AIであれば、インストトラックが16あるので、初心者のうちは問題ないと思います。
Elementsならインストトラックが24あるので、ある程度曲をつくれるようになってきても足りるでしょう。
音源・エフェクト数

グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
---|---|---|---|---|---|
音源数 | 8 | 8 | 3 | 2 | 2 |
音源の音色数 | 3000 | 2600 | 1000 | 185 | 185 |
オーディオエフェクト数 | 79 | 60 | 47 | 28 | 23 |
MIDIエフェクト数 | 18 | 18 | 0 | 0 | 0 |
1トラックに使用できるエフェクト数 | 16 | 16 | 8 | 4 | 4 |
音源は、DAWの中で使う楽器です。ピアノやギター、ドラム、シンセ、ボカロなどさまざまなタイプの音源があります。
エフェクトは、録音した音や、音源から出た音を加工するものです。ギターの音を歪ませたり、音を実際の空間でならしたような残響をつくり出したり、いろんなことができます。
音源・エフェクトはプラグインと呼ばれます。プラグインはDAWに内蔵されているもののほかに、他社製のプラグインも使うことができます。すべてのグレードで、他社製のプラグインを使うことができます。
プラグインは様々なメーカーから無数にリリースされており、無料のものでも十分使える品質のものがたくさんあります。
プラグインは、DTMを本格的にやっていくと、DAW内蔵のものでなく他社製のものを使うことが多くなります。そのため、DAWを選ぶうえではどのようなプラグインが内蔵されているかは、さほど重視する必要はありません。
初心者のうちは、ElementsやAI、LEに無料のプラグインを加えただけでも、問題ないでしょう。
ピッチ補正機能

グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
---|---|---|---|---|---|
ピッチ補正(VariAudio) | ○ | ○ | – | – | – |
コンピング | ○ | ○ | – | – | – |
ピッチ補正は、歌・ボーカルの音程を修正する機能です。現代のポピュラー音楽では、ほぼすべての音源で歌のピッチ補正が行われています。
ピッチ補正は、歌を録音するなら必須の機能です。また、ピッチ補正はいわゆる「ケロ声」をつくるのにも利用されています。
Cubaseには「VariAudio」というピッチ補正機能が内蔵されています。他社製のピッチ補正ソフトでは「Auto-Tune(オートチューン)」「Melodyne(メロダイン)」が有名です。
コンピングは、歌などを複数回録音して、それらのよいところをつなぎ合わせる機能です。歌を録音するなら必須の機能です。
ボカロには、ピッチ補正は必要ありません。
歌を録音する方は、「Artist」以上のグレードがおすすめです。
おすすめのグレードは「Pro」「Artist」「AI」
予算が十分にある方は、最初から機能制限のない「Pro」一択でよいでしょう。すべての機能が使えるので快適に作業できます。
少し予算をおさえたい方は、とりあえず「Artist」で始めて、必要になったら「Pro」にアップグレードするのがおすすめです。「Artist」でも十分な機能があります。「Pro」の機能が必要になったときに、アップグレードを検討すればよいでしょう。
また、歌を録音する場合は、ピッチ補正機能がある「Artist」以上が必須です。
とにかく安くDTMを始めたい方は、「AI」が付属しているスタインバーグのオーディオインターフェイスを購入するのがおすすめです。付属品のCubaseを選ぶならトラック数が「LE」より多い「AI」のほうがお得です。
「Elements」は、おすすめではありません。さほど機能が変わらない「AI」が無料の付属品であることを考えると、コスパが悪いからです。
まとめると、
- 予算がある方: 「Pro」
- 予算をおさえたいが、歌を録音する方: 「Artist」
- 予算がない方: 「AI」が付属しているハードを購入
がおすすめです。
Cubaseの買い方
Cubaseは、公式サイトでも購入できますが、サウンドハウス、Amazon、楽天などのほうがかなり安いのでお得です。

Cubaseのアップグレード方法
Cubaseのアップグレードは、スタインバーグ公式サイトから行います。サウンドハウスなどでは、アップグレード版の販売はされていません。
詳しくは、ヤマハの下記ページを参照してください。
【Cubase共通】アップデート/アップグレード方法を教えてください。 – ヤマハ
AIが付属している製品
「Cubase AI」は、SteinbergとYamahaのハードウェア製品に付属しています。ヤマハはスタインバーグの親会社です。
UR22C / Steinberg

初心者向けオーディオインターフェイスの大定番。日本でもっとも使われているモデルです。DTMを始めるのに必要な機能はすべて備わっています。
UR12 / Steinberg

定番のURシリーズの低価格モデル。マイク用入力とエレキギター用入力がひとつづつあります。出力は一般的なフォン端子ではなく、安価なRCA端子となっています。MIDI入出力はありません。
オーディオインターフェイスの選び方については、こちらで解説しています。

まとめ
Cubaseのグレードの選び方について解説しました。
迷っている方は、「Artist」を選んでおくのが無難ですね。値段も手頃で十分な機能があります。

他のDAWについては、こちらで解説しています。
