ウェーブテーブル合成は、シンセサイザーの音色合成方式のひとつで、メモリ(ウェーブテーブル)に保存しておいた1周期分の波形を繰りかえし読み出すことで、音をつくり出す方式のことです。
この記事では、ウェーブテーブル合成とウェーブテーブル合成を用いたシンセサイザーについて解説し、おすすめのVSTプラグインソフトを紹介します。
ウェーブテーブル合成とは
ウェーブテーブル合成(ウェーブテーブル・シンセシス: Wavetable Synthesis)は、シンセサイザーの音色合成方式のひとつで、メモリ(ウェーブテーブル)に保存しておいた1周期分の波形を繰りかえし読み出すことで、音をつくり出す方式のことです。
ウェーブテーブルに用いる波形は、ピアノやギター、ドラムなどの生楽器や声、環境音、アナログシンセの音までさまざまです。
ウェーブテーブルは1周期分の波形を繰り返し読み出して音を生成します。例えば、100Hzの音をつくるには、1秒間に100回波形を読み出します。
1組のウェーブテーブルには、少しずつ異なる形状の多数の波形で構成されています。読み出す波形を連続的に切り替えていくと、発音中に音色を変化させることができます。波形の切り替えには、エンベロープやLFOなどのモジュレーターを使います。
ウェーブテーブルシンセとは
オシレーターにウェーブテーブル合成を用いたシンセサイザーのことを、ウェーブテーブルシンセと呼びます。
オシレーター以外の部分は、一般的なシンセと同様に、フィルター、アンプ、エンベロープジェネレーター、LFOで構成されていることが多いです。位相変調(フェイズ・モジュレーション)、周波数変調(FM:フリーケンシー・モジュレーション)を搭載しているものもあります。
ウェーブテーブルシンセの特徴は、つくれる音色の幅がひろく、また、発音中の音色を複雑に変化させられることです。音色を変化させて、アッコースティック楽器の音色変化を模倣したり、自然界には存在しない音色を生成したりできます。
ウェーブテーブルシンセは、音作りが簡単でわかりやすく、初心者でも容易に使うことができます。ウェーブテーブルシンセは、EDMやフューチャーベースなどで用いられるような今風のシンセ音をつくるのに向いています。現在、もっとも使われているタイプのシンセといってよいでしょう。
サンプリング式との違い
ウェーブテーブル合成と似たものにサンプリング式(PCM式)合成があります。
ウェーブテーブル式は、音の1周期分の波形を用います。一方、サンプリング式は、音の鳴り始めから鳴り終わりまでの波形を用います。例えば、ピアノの1音を弾いたときの鳴り始めてから鳴り終わるまでのすべてを保存しておき、それを読み出して音を生成します。
おすすめウェーブテーブルシンセVSTプラグインソフト
Serum / Xfer
Serum / Xfer は、業界標準とも言える定番のウェーブテーブルシンセです。
波形がグラフィカルに表示されるので、直感的に音作りができます。Serum は、ユーザーが非常に多いため、チュートリアルが豊富で、無料のプリセットなども多数配布されています。初心者の方におすすめのソフトシンセです。

Massive X / Native Instruments
Massive X / Native Instruments (マッシブ/ネイティブ・インストゥルメンツ)は、2019年6月に発売された比較的あたらしいウェーブテーブルシンセです。
モジュラー機能を搭載していて、フィルターやエフェクターのルーティングを自由に行えます。
周波数変調、位相変調も搭載していて幅広い音作りが可能です。内蔵エフェクトも充実しています。
Native Instruments 社の多数の製品をバンドルしたKompleteに収録されているので、お得に購入できます。



Pigments / Arturia
Pigments / Arturia は、ウェーブテーブル式、アナログモデリング式のシンセサイザーと、サンプラーを統合した万能シンセサイザーです。
サンプラー部はグラニュラーシンセシス機能を内蔵しています。自分でサンプルを読み込むこともできます。
ウェーブテーブル式を用いた現代的なシンセ音、サンプラーを用いたリアルな音色、グラニュラー式を用いた実験的な音まで、これ一台でさまざまな音色を出すことができます。
