DTMでは、さまざまな種類のケーブルを用いますが、初心者の方にはどのケーブルを使えばよいのかわかりにくいです。
間違ったケーブルを使うと「音が出ない」「音が小さい」「ノイズだらけになる」などの問題が発生します。
このような問題を起こさないためには、適切なケーブルを用いる必要があります。
そこで、この記事ではDTMで使うケーブルの種類や選び方について解説します。
アナログ/デジタル
DTMで用いるケーブルの中を流れる信号には、アナログ信号とデジタル信号とがあります。
アナログ信号は、一般的なオーディオ信号で、ギターやシンセなどの楽器とオーディオインターフェイスの間、オーディオインターフェイスとスピーカーやヘッドホンの間などを流れます。
デジタル信号は、MIDIケーブルやUSBケーブルの中を流れます。
アナログケーブル・端子の種類
DTMで用いるアナログケーブルの端子は、主に下記の4つです。
- 1/4 インチ標準フォンプラグ(モノ/TS とステレオ/TRS)
- ミニプラグ(モノとステレオ)
- XLR
- RCA
ケーブルの両端の端子が同じものは、ケーブルの向きを気にする必要はありません。
信号はケーブルのどちら向きにも同じように流すことができます。
1/4インチ標準プラグ
1/4インチのオーディオプラグは、最も一般的なオーディオ端子です。
フォン端子、標準プラグなどとも呼ばれます。
標準プラグには、TRS/ステレオとTS/モノの2種類があります。
モノ/TS
TSプラグ・ケーブルは、モノラル信号、つまり1チャンネルの信号を送受信します。
TSとは、Tip(チップ)/Sleeve(スリーブ)の略です。
端子は、ひとつのプラスチック製のリングで先端と根本に分けられており、先端の部分がチップ、根本の部分がスリーブです。
TSケーブルは主に、ギターとギターアンプ、シンセサイザーとオーディオインターフェイスなどの接続に用いられます。
TSケーブルには、楽器用ケーブルとスピーカーケーブルの2種類があります。
- 楽器用ケーブル(シールド)
- スピーカーケーブル
楽器用ケーブルは一般的なTSケーブルで、ギターとギターアンプ、シンセサイザーとオーディオインターフェイスなどの接続に用いられます。
楽器用のTSケーブルは、シールドとも呼ばれます。
これは、ケーブル内のワイヤーが編組シールドで囲まれていることから来ています。
楽器用ケーブルは、マイクレベルの弱い信号、または、ラインレベルの中程度の強さの信号の送受信に用いられます。
スピーカー用のTSケーブルは、スピーカーケーブルと呼ばれます。
スピーカーケーブルは、シールドされていません。
スピーカーケーブルは、パワーアンプとパッシブスピーカーをつなぐためのケーブルで、強い信号を送受信します。
個人のDTMやホームスタジオでは、一般的にアンプが内蔵されているアクティブスピーカーを用い、パワーアンプとパッシブスピーカーとをつなぐスピーカーケーブルを用いることはほとんどないでしょう。
楽器用のTSケーブルと、スピーカーケーブルは見た目には区別できません。
内部の構造が異なります。
楽器用ケーブルとスピーカーケーブルの両方を使用する場合には、テープを巻くなどして楽器用ケーブルかスピーカーケーブルか分かるようにしておくとよいです。
ステレオ/TRS
ステレオ/TRS は、ステレオ信号、またはバランスドのモノラル信号を送受信します。
TRSとは、チップ(Tip)/Ring(リング)/スリーブ(Sleeve)の略です。
端子は、2つのプラスチック製のリングで先端とプラスチックリングの間の部分、残りの根本の部分に分けられており、先端の部分がチップ、真ん中の部分がリング、根本の部分がスリーブです。
TRSケーブルでは、2チャンネルの信号を流すことができます。
ステレオで用いる場合には、LとRの2つのチャンネルの信号が流れます。
一般的に端子の先端のチップの部分に左チャンネルが接続され、リングの部分に右チャンネルが接続されます。
TRSのステレオ端子は、ヘッドホンなどに用いられています。
バランス接続は途中で信号に混入したノイズを除去するための接続です。
バランス接続の場合には、元の信号と元の信号を位相反転させた信号を流します。
TSケーブルは、バランス接続ではないアンバランス接続となります。
アンバランス接続は、ノイズを除去する機能がありません。
ケーブルが長くなるほど、ノイズが混入しやすくなるため、長いケーブルを用いる場合には、バランス接続にすることが好ましいです。
TRSケーブルのバランス接続は、DTMでは、オーディオインターフェースとスピーカーの接続などに用いられます。
ミニプラグ
ミニプラグは、標準プラグを小さくしたようなものです。
ヘッドホン、イヤホン用の端子によく用いられています。
標準プラグと同様に、TRS/ステレオのものとTS/モノラルのものがあります。
機能的にも標準プラグと同じものです。
ミニプラグを標準プラグに変換できる変換プラグ、または、その逆に標準プラグをミニプラグに変換できる変換プラグがあります。
XLR
XLR コネクタは、マイクやプロ用機器間の一部のライン接続に使用されます。
このケーブルにはメスとオスがあります。
コードは TRS端子と同様に配線されており、ノイズを最小限に抑えるためにバランスド接続になっています。
XLR マイクケーブルは、低インピーダンスの信号を伝送するため、Low Z ケーブルとも呼ばれています。
RCA
RCA端子は、フォノ端子と呼ばれることもあります。
基本的に左右の2チャンネルで一組となっていてチャンネルごとに色分けされています。
どちらが左チャンネルでも右チャンネルでもかまいません。
RCA端子は、比較的安価なスピーカーやオーディオインターフェイス、ミキサーなどで用いられています。
RCAケーブルは、ノイズ除去機能のないアンバランス接続です。
デジタルケーブル・端子の種類
MIDI
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)の略で、演奏情報をあるデバイスから別のデバイスに渡すことができる通信プロトコルです。
MIDI端子は5ピンDIN端子とも呼ばれ、オスとメスがあります。
楽器やデバイスのメスのMIDIジャックに、ケーブルのオスのMIDI端子を差し込むようになっています。
MIDI端子は、MIDIキーボードやデジタルピアノ、シンセサイザー、ドラムマシン、サンプラー、MIDIインターフェイス機能のあるオーディオインターフェイスなどに搭載されています。
小さなシンセやサンプラーなどで、ステレオ・ミニプラグをMIDI入出力に用いているものもあります。
この場合には、MIDI端子をミニプラグに変換する変換ケーブルを使用します。
MIDIデータの送受信には、USBケーブルが使われることも多いです。
USB
USBは、Universal Serial Busの略です。
USBケーブルは、MIDIコントローラーとパソコン、オーディオインターフェイスとパソコンの接続などに用いられます。
USBケーブルを選ぶ際は、端子と転送規格をチェックする必要があります。
USB端子には、「Type-A」、「Type-B」、「Type-C」の3種類の端子があります。
USB Type-A端子は、長方形の端子で、パソコンによくついているタイプです。
USB Type-B端子は、正方形の2つの角を切り落としたような形の端子で、オーディオインターフェイスなどに用いられています。
USB Type-C端子は、薄く小さな端子で、比較的新しいパソコンやオーディオインターフェイスなどに用いられています。
USBの転送方式には、「1.1」「2.0」「3.0」があります。
数字が大きくなるほど、より高速でデータを転送できます。
現在、DTMで使われるのは、「2.0」と「3.0」です。
USB3.0はもっとも高速でデータ転送ができる方式です。
比較的発売の新しいオーディオインターフェースに採用されています。
USB3.0を用いるとより高音質、低レイテンシー(遅れ)でのデータ転送が可能になります。
USB2.0は、USB3.0よりは低速ですが、音質、レイテンシーの面でも十分な速度があります。
USB2.0のオーディオインターフェースを選んでも問題ありません。