この記事では、定番のDAW「Cubase / Steinberg」の各グレード(Pro, Artist, Elements, AI, LE)の違いを比較して選び方を解説します。
- Cubaseの有料版と無料版の違いは?
- 無料版のCubase AI, LEではできないことは?
- Elementsでも十分?
- DTM初心者がどれを買えばいい?
- Cubaseのセールはいつ?
- Cubaseを安く買う方法は?
という方は、ぜひ参考にしてください。
5種類のグレード
Cubaseには5種類のグレード・エディションがあります。上位グレードから順に下記のようになります。
グレード | 価格 |
Pro | 62,700円 |
Artist | 35,200円 |
Elements | 13,200円 |
AI | スタインバーグ・ヤマハ製品に付属 |
LE | 他社製品に付属 |
上位の3グレード「Pro」「Artist」「Elements」は有料版です。それぞれ単体で購入できます。
下位の2グレード「AI」「LE」はオーディオインターフェイスなどのハードウェアの付属品として無料で配布されているものです。単体での販売・配布はしていません。
「Pro」はフル機能が使える標準グレード、いわゆる「無印」にあたります。グレードが下がるにつれて、より機能が減っていきます。
どのグレードも基本的に同じソフトなので、下位バージョンで作成したデータを上位バージョンで開くこともできます。
音質はどのグレードも同じです。
各グレードの違い
各グレードで機能が異なる部分の重要なところを抜き出した比較表です。 各グレードの大きな違いは、以下の4点です。
- トラック数
- 音源・エフェクト数
- 1トラックに使用できるエフェクト数
- ピッチ補正機能(ヴォーカル修正用)
グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
オーディオトラック数 | 無制限 | 無制限 | 48 | 32 | 16 |
インストゥルメントトラック数 | 無制限 | 無制限 | 24 | 16 | 8 |
音源数 | 8 | 8 | 3 | 2 | 2 |
音源の音色数 | 3000 | 2600 | 1000 | 185 | 185 |
オーディオエフェクト数 | 79 | 60 | 47 | 28 | 23 |
MIDIエフェクト数 | 18 | 18 | 0 | 0 | 0 |
1トラックに使用できるエフェクト数 | 16 | 16 | 8 | 4 | 4 |
ピッチ補正(VariAudio) | ○ | ○ | – | – | – |
コンピング | ○ | ○ | – | – | – |
詳しい機能比較は、下記のCubase公式サイトを参照してください。 Cubase シリーズ比較 | Steinberg
トラック数
グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
オーディオトラック数 | 無制限 | 無制限 | 48 | 32 | 16 |
インストゥルメントトラック数 | 無制限 | 無制限 | 24 | 16 | 8 |
オーディオトラックは、歌やギターなどの生音を録音するためのトラックです。
インストゥルメントトラックは、ソフト音源を鳴らすためのトラックです。
必要なトラック数は、作る音楽の種類により変わりますが、初心者のうちは10~20トラック程度で作ることが多いでしょう。
プロの音源だと40~80トラックぐらいです。もちろん、もっと少ない場合も多い場合もあります。
オーディオトラックとインストゥルメントトラックの割合も、音楽の種類や作り方によって変わってきます。
歌などの生音を録音しない場合は、基本的にインストゥルメントトラックのみでつくることになります。
LEはインストトラックが8しかないので、少し厳しいです。
AIであれば、インストトラックが16あるので、初心者のうちは問題ないでしょう。
Elementsならインストトラックが24あるので、ある程度曲をつくれるようになってきても足りるでしょう。
音源・エフェクト数
グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
音源数 | 8 | 8 | 3 | 2 | 2 |
音源の音色数 | 3000 | 2600 | 1000 | 185 | 185 |
オーディオエフェクト数 | 79 | 60 | 47 | 28 | 23 |
MIDIエフェクト数 | 18 | 18 | 0 | 0 | 0 |
1トラックに使用できるエフェクト数 | 16 | 16 | 8 | 4 | 4 |
音源は、DAWの中で使う楽器です。ピアノやギター、ドラム、シンセ、ボカロなどさまざまなタイプの音源があります。
エフェクトは、録音した音や、音源から出た音を加工するものです。ギターの音を歪ませたり、音を実際の空間でならしたような残響をつくり出したり、いろんなことができます。
音源・エフェクトはプラグインと呼ばれます。プラグインはDAWに内蔵されているもののほかに、他社製のプラグインも使うことができます。
すべてのグレードで、他社製のプラグインを使うことができます。プラグインは様々なメーカーから無数にリリースされており、無料のものでも十分使える品質のものがたくさんあります。
プラグインは、DTMを本格的にやっていくと、DAW内蔵のものでなく他社製のものを使うことが多くなります。そのため、DAWを選ぶうえではどのようなプラグインが内蔵されているかは、さほど重視する必要はありません。
初心者のうちは、ElementsやAI、LEに無料のプラグインを加えただけでも、問題ないでしょう。
1トラックに使用できるエフェクト数
グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
1トラックに使用できるエフェクト数 | 16 | 16 | 8 | 4 | 4 |
1トラックに使用できるエフェクトは、ひとつのパートにかけられるエフェクトの数です。
8あれば、たいていの場合は足ります。4しかないと、足りない場合が多いでしょう。
初心者の間は4でも足りるかもしれませんが、本格的にやるなら8は必要です。そのため4しかない「AI」「LE」では、本格的にDTMをやるのは厳しいです。
ピッチ補正機能
グレード | Pro | Artist | Elements | AI | LE |
ピッチ補正(VariAudio) | ○ | ○ | – | – | – |
コンピング | ○ | ○ | – | – | – |
ピッチ補正は、歌・ボーカルの音程を修正する機能です。
現代のポピュラー音楽では、ほぼすべての音源で歌のピッチ補正が行われています。ピッチ補正は、歌を録音するなら必須の機能です。
また、ピッチ補正はいわゆる「ケロ声」をつくるのにも利用されています。
Cubaseには「VariAudio」というピッチ補正機能が内蔵されています。他社製のピッチ補正ソフトでは「Auto-Tune(オートチューン)」「Melodyne(メロダイン)」が有名です。
コンピングは、歌などを複数回録音して、それらのよいところをつなぎ合わせる機能です。歌を録音するなら必須の機能です。
ボカロには、ピッチ補正は必要ありません。
歌を録音する方は、VariAudioが搭載されている「Artist」以上のグレードがおすすめです。
どのグレードを買うべきか
グレード | こんな方におすすめ |
Pro | すでにArtistを使っていて、Proの機能が必要になった方 予算に余裕がある方 |
Artist | これからDTMを始めるDTM初心者の方 本格的にDTMをやりたい方 ボーカル録音をする方 |
Elements | これからDTMを始めるDTM初心者の方 低価格でCubaseを使いたい方 ボーカル録音をしない方 AI,Elが付属しているハードウェアを購入する予定がない方 |
AI | これからDTMを始めるDTM初心者の方 低価格でCubaseを試してみたい方 AIが付属しているハードウェアを購入予定の方 |
LE | これからDTMを始めるDTM初心者の方 低価格でCubaseを試してみたい方 LEが付属しているハードウェアを購入予定の方 |
Pro
Proは、すでにArtistを使っていてProの機能が必要になった方におすすめです。
Artistでも基本的な機能は、すべて備わっているためDTM初心者がいきなりProにする必要はあまりありません。
予算が十分にある方は、最初から機能制限のない「Pro」でよいでしょう。すべての機能が使えるので快適に作業できます。
Artist
Artistは、これからDTMを始める方でボーカル録りをする方におすすめです。
Artistでも、基本的な機能はすべて備わっています。
Artistから始めて、必要があればProにアップグレードすればよいでしょう。
ボーカルのピッチ補正機能「Vari Audio」がついているので、ボーカル録音をするならArtistがおすすめです。
Elements
Elementsは、これからDTMを始める方でボーカル録りをしない方におすすめです。
Artistとの最大の違いは、Elementにはピッチ補正機能「Vari Audio」がないということです。
ボーカル録りをしない方は、Elementから始めて、必要があればArtistやProにアップグレードすればよいでしょう。
AI
AIは、スタインバーグのオーディオインターフェイスなどの購入を予定している方におすすめです。
とりあえずDAWやCubaseがどんなものか試すには十分な機能があります。
しかし、1トラックあたりのエフェクト数など制限がきついので、本格的にDTMをやるとなると、アップグレードする必要があるでしょう。
LE
LEは、スタインバーグ、ヤマハ以外の会社のハードウェアに付属しています。
それらのハードウェアを購入予定の方におすすめです。
AIよりも少し機能が少ないので、付属品のCubaseを狙うならLEよりもAIのほうがおすすめです。
Cubaseのセール情報
Cubaseは不定期にセールがあります。
過去のセール
期間 | 割引率 | 内容 |
~2023/3/28 | 約40% | 各グレードが割引 |
~2022/10/3 | 約40% | 各グレードが割引 |
Cubaseをセール以外で安く買う方法
Cubaseをセール以外で安く買う方法は、以下の2つです。
- アカデミック版(学割版)を買う
- Cubase AI, LEが付属しているハードウェアを買う
アカデミック版(学割版)を買う
アカデミック版は、学生の方が購入できる割引版です。学生の方におすすめです。
アカデミック版は、サウンドハウスや楽天など各ショップで購入できます。
Cubase AI, LEが付属しているハードウェアを買う
Cubase Pro、Artistを使う予定の方でも、AI、LEからアップグレードしたほうがお得に購入できます。
「Cubase AI」は、SteinbergとYamahaのハードウェア製品に付属しています。ヤマハはスタインバーグの親会社です。
「Cubase LE」は、SteinbergとYamaha以外のメーカーハードウェア製品に付属しています。
AIのほうが多機能なので、これからDTMを始めるという方はSteinbergのオーディオインターフェイスを購入するのがおすすめです。
UR22C / Steinberg
初心者向けオーディオインターフェイスの大定番。日本でもっとも使われているモデルです。DTMを始めるのに必要な機能はすべて備わっています。
UR12 / Steinberg
定番のURシリーズの低価格モデル。マイク用入力とエレキギター用入力がひとつづつあります。出力は一般的なフォン端子ではなく、安価なRCA端子となっています。MIDI入出力はありません。
オーディオインターフェイスの選び方については、こちらで解説しています。
Cubaseのアップグレード方法
Cubaseのアップグレードは、スタインバーグ公式サイトから行います。サウンドハウスなどでは、アップグレード版の販売はされていません。 詳しくは、下記ページを参照してください。
まとめ
Cubaseのグレードの選び方について解説しました。迷っている方は、「Artist」を選んでおくのが無難ですね。値段も手頃で十分な機能があります。
DAWを使うのが初めてという方は、解説本があったほうが早く使い方を習得できるのでおすすめです。 この本では、Cubaseの100以上の操作を画面キャプチャーを利用して目的別に解説しています。
他のDAWについては、こちらで解説しています。