この記事では、ドイツのオーディオ機器メーカーBeyerdynamic(ベイヤーダイナミック)のおすすめモニターヘッドホンを紹介します。

Beyerdynamicのモニターヘッドホンの選び方
インピーダンスの違い
ベイヤーダイナミックのヘッドホンには、同じ型番に複数のインピーダンスのモデル(32Ω、80Ω、250Ωなど)が用意されているものがあります。
自分の使用環境に合わせて、適切なインピーダンスのモデルを選ぶ必要があります。
インピーダンスとは、電子回路のもつ交流電流に対する抵抗値のようなものです。単位はΩ(オーム)です。一定の音量を出す場合、インピーダンスが大きくなるほど、大きな電力が必要になります。
インピーダンスによる音質の違いは、ほとんどありません。ハイインピーダンスのほうが、中高域の解像度が少し高くなります。
インピーダンスの選び方は、どのような機器にヘッドホンを挿して使うかで決めるとよいです。
スマホなどのパワーのない機器にハイインピーダンスのヘッドホンを挿しても、十分に音量を上げることができず、また音質も悪くなります。
逆にオーディオインターフェイスや、ヘッドホンアンプなどのパワーのある機器は、ローインピーダンスのヘッドホンでもハイインピーダンスのヘッドホンでも駆動させることができます。
32Ωのローインピーダンスのヘッドホンを、スタジオではオーディオインターフェイスに挿し、外出時にはスマホやノートパソコンに直差して兼用することはできます。
ハイインピーダンスのヘッドホンは、スマホなどでは使えないので外出用とスタジオ用との兼用には使えません。
ドラムやギターなどの録音時にモニターとして使う場合は、音量を上げやすい80Ωが向いています。
- 32Ω : スマートフォンやタブレット、ノートパソコンのヘッドホン端子に直差し、ポータブルプレーヤー、電池や内蔵バッテリーで動かす機器、電子ピアノ、シンセサイザー、ギターアンプなど
- 80Ω : オーディオインターフェイス
- 250, 600Ω : ヘッドホンアンプ
Pro と Editionの違い
DT770, DT990 には、ProとEditionの2種類があります。
Proは音楽制作用、Editionはリスニングなどの普段使い用という位置づけの製品です。
音質は、ProとEditionとも基本的に同じです。
違いは、イヤーカップのデザイン、側圧の強さ、インピーダンス、付属ケーブルの種類・長さ、イヤーパッドの種類、付属ケースの種類です。
Proのほうが側圧が強く、より遮音性が高くなっています。
Beyerdynamicのおすすめ密閉型モニターヘッドホン
DT770 Pro (32, 80, 250Ω)

定番の密閉型ヘッドホン
DT770 Pro / Beyerdynamic は、定番の密閉型モニターヘッドホンです。
セミオープンのDT880、開放型のDT990よりも低域の再生能力に優れています。高域の解像度では、DT880、DT990に劣ります。
DT770には、32Ω/80Ω/250Ωの3機種があります。32Ωは、ラップトップやスマホなどのモバイル機器用、80Ωは音量を重視したタイプ、250Ωは音質を重視しより高解像度なタイプです。
32Ωはスタジオ用と外出時用の兼用、80Ωはレーコーディング時のモニター用やミキシング用を兼用する場合、250Ωはミキシング専用に向いています。
低域がしっかりと出るので、低域が重要なジャンル、エレクトロニック・ミュージックやヒップホップなどのミキシングに適しています。
密閉型にしては、広がりのあるサウンドです。
ヘッドバンドがややきつめなので、頭の大きな人は注意が必要です。
250Ωのモデルは、場合によりヘッドホンアンプが必要です。
DT770 Pro と同グレードの開放型がDT990 Pro、セミオープン型がDT880にあたります。
機種 / メーカー | DT770 Pro / Beyerdynamic |
---|---|
タイプ | 密閉型 |
コード | 片出し 固定式 32Ω:ストレート1.5m/80Ω:ストレート3m/250Ω:カール3m |
プラグ | ミニプラグ+変換プラグ |
イヤー・パッド | 交換式 ベロア |
再生周波数帯域 | 5~35,000Hz |
インピーダンス | 32, 80, 250Ω |
DT1770 Pro (250Ω)

密閉型モニターヘッドホンの上位モデル
DT1770 Pro / Beyerdynamic は、ハイエンドのプロ用密閉型モニターヘッドホンです。DT770 Proの上のグレードにあたるモデルです。
音はDT770と似た感じで、高域が強め、低域がやや強めのドンシャリ傾向です。DT770より解像度、定位がよいです。同グレードの開放型にあたるDT1990よりもローエンドがしっかりと出ます。密閉型にしては、広がりのあるサウンドです。
サブベース帯域までしっかりと出るので、低域が重要なジャンル、エレクトロニック・ミュージックやヒップホップなどのミキシングに適しています。
ヘッドバンドがややきつめなので、頭の大きな人は注意が必要です。
DT770との違いは、D1770はコードがストレートとカールの2種で交換式であるのに対して、DT770は固定式であること、また、DT1770はイヤーパッドが合皮とベロアの2種類であるのに対して、DT770はベロアのみであることです。
インピーダンスが250Ωと高いため、場合によりヘッドホンアンプが必要です。
機種 / メーカー | DT1770 Pro / Beyerdynamic |
---|---|
タイプ | 密閉型 |
コード | 片出し 交換式 3mストレート/5mカール |
プラグ | ミニプラグ+変換プラグ |
イヤー・パッド | 交換式 合皮/ベロア |
再生周波数帯域 | 5~40,000Hz |
インピーダンス | 250Ω |
Beyerdynamicのおすすめ半開放型モニターヘッドホン
DT880 (32, 250, 600Ω)

半開放型のモニターヘッドホン
DT880 / Beyerdynamic は、半開放型(セミオープン)のモニターヘッドホンです。
DT880には、インピーダンスが32ΩのDT880E/32Sと、250ΩのDT880 Edition2005、600ΩのDT880 E/600の3種類があります。
密閉型のDT770、開放型のDT990の中間の特性を持ちます。
低域は、密閉型のDT770と同程度の再生能力があります。半開放型のためヘッドホン内部での反射が少なく、よりすっきりとした明瞭な低域が得られます。
高域は、開放型のDT990に近い解像度や広がりが得られます。
ヘッドバンドの締め付けが少しきつめなので、頭の大きな人は注意が必要です。
機種 / メーカー | DT880 / Beyerdynamic |
---|---|
タイプ | 半開放型 |
コード | 片出し 固定式 3m ストレート |
プラグ | ミニプラグ+変換プラグ |
イヤー・パッド | 交換式 ベロア |
再生周波数帯域 | 5~35,000Hz |
インピーダンス | 32, 250, 600Ω |
Beyerdynamicのおすすめ開放型モニターヘッドホン
DT990 Pro (250Ω)

中価格帯の人気開放型ヘッドホン
DT990 Pro / Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)は、中価格帯の人気の開放型モニターヘッドホンです。
密閉型のDT770より、低域の再生能力で劣りますが、中高域の解像度、音の広がりの面で優れています。
ヘッドバンドの締め付けが少しきつめなので、頭の大きな人は注意が必要です。
250オームの高インピーダーンスで、場合によりヘッドホンアンプが必要です。
機種 / メーカー | DT990 Pro / Beyerdynamic |
---|---|
タイプ | 開放型 |
コード | 片出し 固定式 3m カール |
プラグ | ミニプラグ+変換プラグ |
イヤー・パッド | 交換式 ベロア |
再生周波数帯域 | 5~35,000Hz |
インピーダンス | 250Ω |
DT1990 Pro (250Ω)

開放型モニターヘッドホンの上位モデル
DT1990 Pro / Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)は、ハイエンドのプロ用開放型モニターヘッドホンです。DT990 Proの上のグレードにあたるモデルです。
密閉型のDT770、DT1770より、低域の再生能力で劣りますが、開放型としては低域の再生能力が高いモデルです。中高域の解像度が高く、音の広がりの面でも優れています。
下位モデルDT990と比較すると、より解像度が高く、定位が明確になっています。
DT990との違いは、D1990は、コードがストレートとカールの2種で交換式であるのに対して、DT990はカールの固定式であること、また、DT1770はイヤーパッドが音の特性が異なる2種類であるのに対して、DT770は1つであることです。
インピーダンスが250Ωと高いため、場合によりヘッドホンアンプが必要です。
機種 / メーカー | DT1990 Pro / Beyerdynamic |
---|---|
タイプ | 開放型 |
コード | 片出し 交換式 3mストレート/5mカール |
プラグ | ミニプラグ+変換プラグ |
イヤー・パッド | 交換式 ベロアx2種類 |
再生周波数帯域 | 5~40,000Hz |
インピーダンス | 250Ω |
