東海岸シンセシス、西海岸シンセシスとは、1960年代にアメリカの東海岸と西海岸で同時期に生まれたシンセサイザーのスタイル・方式・系統のことです。
東海岸シンセシスとは
東海岸シンセシス(イースト・コースト・シンセシス: East Coast Synthesis)とは、シンセサイザーの方式のひとつで、倍音の多いノコギリ波、矩形波などから、フィルターで倍音を削って音色を合成し、キーボードを使って演奏するタイプのシンセサイザーのことです。
東海岸のニューヨークを拠点とするMoog(ムーグ)社の Minimoog(ミニムーグ) によって確立されたスタイルであるため、東海岸シンセシスと呼ばれるようになりました。
東海岸方式のシンセサイザーは、わかりやすく、一般的な音楽の演奏に適していたため、後に続くシンセサイザーのスタンダードになりました。
東海岸シンセシスを用いた代表的なシンセサイザーは Minimoog / Moog の他には、Odyssey / ARP、MS-20 / Korg、Prophet-5 / Sequential Circuits などがあります。
西海岸シンセシスとは
西海岸シンセシス(ウエスト・コースト・シンセシス: West Coast Synthesis)とは、シンセサイザーの方式のひとつで、三角波などの倍音の少ない波形を、ウェーブ・シェイパー、ウェーブ・フォルダーなどで加工して倍音豊かな音色をつくるタイプのシンセサイザーのことです。
基本的には、キーボードがなく、タッチ・プレートで制御信号を生成してコントロールします。
タッチ・プレートは、各プレートが出力する電圧を調整することで、キーボードのようにも使うことができます。
西海岸のカリフォルニア・サンフランシスコを拠点とするBuchla(ブクラ)社によって確立されたスタイルであるため、西海岸シンセシスと呼ばれるようになりました。
東海岸式のシンセサイザーと比べると、操作が難しく、実験的な音楽・ミュージシャンによく使用されます。
西海岸シンセシスを用いたシンセサイザーのメーカーには、Buchla、Serge(サージ)、Make Noise(メイク・ノイズ)などがあります。