シンセサイザーの仕組み・使い方・音作りを解説【初心者向け】

シンセサイザー

この記事では、もっとも基本的な音響合成方式である減算合成を用いたシンセサイザーについて解説します。

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減算合成とは?

減算合成(Subtractive Synthesis)とは、倍音が豊かな素となる音から、フィルターで不要な倍音を削ることで、音色を作る方式のことです。

シンセサイザーに使われるさまざまな音響合成方式の中でも、もっとも基本的な方式であり、よく使われているものです。アナログシンセのほとんど、また、ソフトシンセでも多くの機種でこの減算合成が使われています。

減算シンセサイザーの構成と使い方

減算合成シンセサイザーは、基本的に下記の5つのセクションで構成されています。

名称 機能
オシレーター 素となる音を生成する
フィルター 音色を調整する
アンプリファイアー 音量を調整する
エンベロープ・ジェネレーター 音量の変化などに使う信号を生成する
LFO ビブラート効果などに使う信号を生成する

オシレーター

オシレーター(Oscillator)は、音作りの素となる音を合成するセクションです。

キーボードやMIDIノートから音程情報を受け取ります。また、オシレーターの波形を選択します。波形には、ノコギリ波、矩形波、三角波、サイン波、ノイズなどがあり、それぞれ独自の音色をもちます。

  • ノコギリ波:ブー、ビー といったサウンド。
  • 矩形波:ポーといった明るめのサウンド。
  • 三角波:暗めのサウンド。サイン波より少し明るい。
  • サイン波:暗めのサウンド。
  • ノイズ:ザーといったサウンド。

これらの波形のうちのひとつを選ぶか、シンセによっては複数の波形を混ぜて、音色の素をつくります。

受け取った音程情報と、選択された波形に基づいて音響信号を生成します。

フィルター 

フィルター (Filter) は、オシレーターから音響信号を受け取り、その音色を変化させるセクションです。

特定の周波数帯域の音のみを通過させたり、強調したりして音色を調整します。
フィルターの種類には、ローパス(Low Pass)、ハイパス(High Pass)、バンドパス(Band Pass)、ノッチ(Notch)などがあります。ほとんどの場合、ローパス・フィルターが使われます。パラメーターには、カットオフ周波数とレゾナンスがあります。

カットオフ周波数とは、フィルターによる通過・遮断の境目となる周波数のことです。1

レゾナンスとは、カットオフ周波数の帯域を強調する機能のことです。レゾナンスを上げると、カットオフ周波数の帯域が増幅され、独特の音色になります。

ローパス・フィルターは、カットオフ周波数以下の帯域のみを通過させ、音色を暗くマイルドにします。一方、ハイパス・フィルターは、カットオフ周波数以上の帯域のみを通過させ、音色を細く明るいものにします。

種類 機能
ローパス カットオフ周波数以下の帯域のみ通過させる
ハイパス カットオフ周波数以上の帯域のみ通過させる
バンドパス カットオフ周波数の帯域のみを通過させる
ノッチ カットオフ周波数の帯域のみをブロックする

スロープ

スロープとは、フィルターの遮断特性の傾きのことです。

フィルターは、カットオフ周波数を境にして完全に音を遮断できるわけではありません。例えば、ローパス・フィルターであれば、カットオフ周波数から減衰が始まり、高域にいくにしたがって減衰量が大きくなります。スロープの単位には dB/oct (1オクターブあたり何dB減衰するか)が用いられます。例えば、12dB/oct のローパス・フィルターであれば、カットオフ周波数から1オクターブ上で12dB減衰し、2オクターブ上で24dB減衰します。

シンセの機種によっては、スロープを 12dB/oct, 24dB/oct などから選べるものがあります。

フィルター・エンベロープを設定する

フィルターのカットオフ周波数を時間的に変化させるには、フィルター用のエンベロープを使います。

パラメーターは、アンプ用のエンベロープと同じく、アタック、ディケイ、サステイン、リリースが一般的です。

アンプリファイアー

アンプリファイアー(Amplifier)は、音量を調整するセクションです。一般的にアンプと呼ばれます。

フィルターから受け取った音響信号と、エンベロープから受け取った制御信号を掛け合わせて、音の大きさを変化させます。

エンベロープ・ジェネレーター

エンベロープ・ジェネレーター(Envelope Generator)は、音量変化などに用いる制御信号を生成するセクションです。一般的にエンベロープと呼ばれます。

エンベロープジェネレーターで作られたコントロール信号は、アンプやフィルターへ送られます。

エンベロープ・ジェネレーターには、基本的に、アタック・タイム(Attack Time)、ディケイ・タイム(Decay Time)、サステイン・レベル(Sustain Level)、リリース・タイム(Release Time)の4つのパラメーターがあります。頭文字をとってADSRと呼ばれることもあります。

名称 機能
アタック ノートオン2から音量が最大になるまでの時間
ディケイ 音量が最大になってから、サステイン・レベルへ減衰するまでの時間
サステイン 鍵盤を押し続けたときの音量
リリース ノートオフ3から音量がゼロになるまでの時間

LFO

LFOは、ビブラート効果などに用いる制御信号を生成するセクションです。LFOを使って、オシレーターのピッチや、フィルターのカットオフ周波数、アンプの音量などを変調することができます。

LFO(Low Frequency Oscillator)とは、低周波発信機という意味です。低周波とは、人間の耳には聞こえない20Hz以下ぐらいの低い周波数の波のことです。波形には、サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波などがあります。

LFOで生成した制御信号をオシレーターに送るとビブラート効果、フィルターのカットオフに送るとワウ効果、アンプに送るとトレモロ効果を出せます。

シンセサイザーの音作り

減算シンセサイザーでの音作りは4つの手順で行います。

  1. オシレーターの波形を選択して、素となる音色を決める
  2. アンプ・エンベロープを設定して、音量の時間的変化を決める
  3. フィルターで、音の明るさを調節する
  4. フィルター・エンベロープやLFOなどを追加して、音色を時間的に変化させる

バスドラム(キック)/ タムの音作り

  • オシレーター:サイン波
  • アンプ・アタック:最短
  • アンプ・ディケイ:60ms
  • アンプ・サステイン:0%

低い音を弾けばバスドラムに、高い音を弾けばタムになります。
ドラムの皮の部分(ドラムヘッド)は、一般的にサイン波を使ってつくります。
オシレーターのピッチをLFOで変調して、ビブラートをかけると、より存在感のある音になります。LFOの周波数は、最速(30Hzなど)でよいです。

スネアの音作り

  • オシレーター:サイン波とノイズを同じぐらいの音量で混ぜる
  • アンプ・アタック:最短
  • アンプ・ディケイ:80ms
  • アンプ・サステイン:0%
  • 真ん中のドあたりの音を弾く

スネア音色の作り方は、バスドラム、タムにノイズを加えただけです。スネアの皮の音はサイン波で、スナッピーの音はノイズでつくります。

ハイハットの音作り

  • オシレーター:ノイズ
  • アンプ・アタック:最短
  • アンプ・ディケイ:100ms (クローズ・ハイハット)、800ms (オープン・ハイハット)
  • アンプ・サステイン:0%

金属などの一定の音程を持たない音には、ノイズを使うとよいです。
ディケイ・タイムが短いとクローズ・ハイハットに、ディケイ・タイムが長いとオープン・ハイハットになります。

エレピ(エレクトリック・ピアノ)の音作り

  • オシレーター:三角波
  • アンプ・アタック:最短
  • アンプ・ディケイ:350ms
  • アンプ・サステイン:50%
  • アンプ・リリース:1000ms
  • フィルター・タイプ:ローパス
  • フィルター・カットオフ:1.2kHz

三角波は、ギラギラしていないマイルドな音色を作るのに使えます。高域をローパス・フィルターでカットして、音をやわらかくしています。

上昇音 (ライザー) の音作り

  • オシレーター : ノイズ
  • フィルター・タイプ:バンドパス
  • フィルター・レゾナンス:最大
  • フィルターのカットオフ周波数をオートメーションで上げていく

EDMなどで、シーンの変わり目やドロップの前でよく使われるシュワーと上がっていく音色です。ライザーと呼ばれています。

ノイズにバンドパス・フィルターをレゾンナンスを最大にしてかけて、カットオフ周波数の帯域を強調します。カットオフ周波数をオートメーションで、だんだんと上げていくとシュワーっとした上昇音になります。

まとめ

シンセサイザーの音作りを習得するには、もっとも基本的な減算シンセでの音作りを習得することから始めましょう。減算シンセが理解できたら、ウェーブテーブルシンセを使ってみるとよいでしょう。


  1. 厳密には、フィルターによって3dB減衰する周波数のこと 
  2. ノートオン:鍵盤を押すこと 
  3. ノートオフ:鍵盤を離すこと