この記事では、マスタリングにおすすめのプラグインソフト(VST, AU, AAX)を紹介します。
マスタリングに使うプラグイン
マスタリングに使うプラグインは、主に下記の6つのタイプに分けられます。
- アナライザー
- EQ
- コンプレッサー
- サチュレーター・エキサイター
- ステレオイメージャー
- リミッター・マキシマイザー
総合型
Ozone / iZotope
Ozone は、AI(人工知能)を搭載したマスタリング用の統合型プラグインです。
コンプレッサー、EQ、スレレオイメージャー、エキサイター、マキシマイザーなど、マスタリングに必要なエフェクトがすべて入っています。
Ozoneの特徴は、人工知能で曲を分析し自動でエフェクトを適切に設定してくれるマスター・アシスタント機能です。自分の曲をOzoneに流し込めば、数十秒ぐらいでクリアに音圧を上げる設定を自動で行ってくれます。
もちろん、エフェクトの設定は、後で自分で再調整することもできます。
他にも、リファレンス曲を読み込ませると、自分の曲の周波数バランスや音圧などをリファレンス曲に合わせてくれる機能もあります。
Ozoneを使えば、初心者の方でもかんたんにマスタリングをすることができます。
マスタリング初心者の方や、時短したい方におすすめです。
Ozoneの各エフェクトは、それぞれ単体のプラグインとしても使えるので、ミキシング時に個別のトラックに挿して使うこともできます。
アナライザー
Loudness Penalty / MeterPlug
Loudness Penalty は、YouTubeやSpotifyなどの主要音楽ストリーミングサービスに、曲をアップロードしたときに、どれぐらい音量を修正されるかを計測してくれるプラグインです。
音楽ストリーミングサービスは、すべての曲が一貫した音量に聞こえるようにラウドネス・ノーマライゼーションを行い、音が大きすぎる曲は音量を下げています。
マキシマイザーやリミッターで音圧を上げても、ラウドネス・ノーマライゼーションで音量を下げられては意味がありません。
Loudness Penaltyの値を参考にマキシマイザーやリミッターを調整することで、ダイナミクスを最大限に残したマスタリングを行うことができるようになります。
Loudness Penalty / MeterPlugReference / Mastering The Mix
Reference / Mastering The Mix は、ミキシング・マスタリング時にリフファレンス曲と自分の曲を比較するためのプラグインです。トゥルーピークレベル、ラウドネス、周波数バランス、ステレオ幅、コンプレッションの強さを比較できます。
最大12までのリファレンストラックを読み込み、セクションのループを作成し、自分の曲とすばやく比較することで、効率よくミックス・マスタリングのクオリティを上げることができます。
リファレンス曲は、参照したいセクションをドラッグするだけでかんたんにループを作成できます。ループの終点は、自動で最も近いビートに設定されるのでスムーズなループをすばやく作成できます。
自動レベルマッチ機能を搭載を搭載していて、自分の曲とリファレンス曲のラウドネスを自動でそろえてくれるので、自分でリファレンス曲のレベルを調整する必要がなく効率のよい作業が可能です。
同じ曲の異なるバージョンのマスターなどがある場合、トラックアライン機能を使うと、複数のトラックのタイミングを自動で揃えてくれます。
画面上部には、リファレンストラックの波形とトラックを切り替えるためのタブがあります。
中央には、レベル、ラウドネスのメーターに加え、自分の曲とリファレンス曲を切り替えるためのボタンがあります。曲の切り替えはキーボードショートカットで行うこともできます。
下部には、自分の曲とリファレンス曲の周波数バランスの差、ステレオ幅、コンプの強さの差を表示するTrinity Displayがあります。
Trinity Displayをクリックすると、周波数帯域を選択しソロでモニタリングすることができるので、各帯域ごとに集中して比較することができます。
これらの表示を参考に、ミックス・マスタリングを行うことで、すばやくリファレンス曲に近いクオリティの高いミックス・マスターを作成できるようになります。
Loudness Meter 2 / Youlean (フリー)
Loudness Meter 2 / Youlean は無料のラウドネス・メーターです。
LUFSの変化をグラフで表示できるため、楽曲中の音圧の変化を確認することできます。
Loudness Meter 2 / YouleanEQ
Pro-Q3 / FabFilter
Pro-Q3は、業界標準のイコライザープラグインです。プロのミキシングエンジニアから、DTMerまで大人気の製品です。
直感的に使いやすいインターフェースで作業効率がよいです。
ダイナミック機能、リニアフェイズ機能、MS処理機能などデジタルEQに求められる機能のほぼすべてを網羅しています。
音は色付けのない透明な音色で、問題のある帯域をカットする用途に適しています。アナログ的な独特の色付けはないので、ブーストして音を前に出すといった用途には向いていません。
別のトラックの音とのかぶりを表示する機能があり、キックとベースのかぶりの調整などが簡単にできます。
Kirchhoff-EQ / Three-Body Technology
Kirchhoff-EQ / Three-Body Technology は、Fab-Filter Pro-Q 3の強化版とも言えるEQです。
大雑把に言うと、Pro-Q 3にアナログEQを足して、超低ノイズ化したようなEQです。
2021年11月に発売されました。中国のメーカーThree-Body Technologyが開発しています。Three-Body Technologyは、これまでは中国の民族楽器音源などをリリースしていたあまり知られていなかったメーカーです。
32バンドまで使え、EQカーブはビンテージEQをモデリングした30種類のフィルターとデジタルの11種類を合わせて41種類を登載しています。
高度な技術により超低ノイズでクリアなサウンドを実現しています。
また、アセンブリコードを手書することで、高機能にもかかわらずCPU負荷も軽くなっています。
コンプレッサー
Pro-C2 / FabFilter
Pro-C2は、グラフィカルなインターフェースで、DTM初心者の方でも使いやすいデジタルコンプです。
音質の異なる8つのモード(Clean, Classic, Opto, Vocal, Mastering, Bus, Punch, Pumping)があります。
MSコンプ機能があり、Midだけ、またはSideだけにコンプをかけることができます。
グラフィカルなインターフェースで、音がどのように変わっているかわかりやすく、コンプの使い方がよくわからないという初心者の方でもかんたんに使えます。
Pro-MB / FabFilter
Pro-MBは、使いやすいマルチバンドコンプレッサーです。エキスパンダー、アップワード・コンプレッサー、ゲートとしても使えます。 一般的なクロスオーバーフィルターではなく、狙った帯域のみをかんたんに選択できます。
- リニアフェイズモードあり
- サイドチェーン機能あり
- MS処理対応
SSL G-Master Buss Compressor / Waves
SSL G-Master Buss Compressor / Waves は、 SSL Gシリーズ マスターバスコンプのモデリングプラグインです。
各パートを密着させ締りのあるサウンドにすることができます。
収録バンドル: SSL 4000 Collection, Studio Classics Collection
サチュレーター・エキサイター
Oxford Inflator / Sonnox
Oxford Inflator は、トラックの音圧を高め音に迫力を加えることができるエフェクトです。Sonnoxのプラグインの中でも、もっとも人気があるもののひとつで多くのミキシングエンジニアが使用しています。
マスターバス、個別のトラックどちらにでも使用できます。
シンプルなパラメーターで使いやすいのも特徴です。「Effect」はエフェクトの強さを、「Curve」は音質の特性を調整します。
ミックス初心者でも、かんたんに使えミックスのクオリティを上げてくれます。
Saturn / FabFilter
Saturn 2 / FabFilter は、グラフィカルなインターフェイスで使いやすいマルチバンド・サチュレーションプラグインです。
最大6つまでの帯域に分割できるマルチバンド機能を搭載していて、帯域ごとに個別にサチュレーションをかけることができます。
28種類の歪みタイプを選択可能です。定番の真空管やテープから、ギターアンプをモデルとした「Amp」、サウンドを激変させる「FX」など非常に歪みの種類が豊富です。ソフトなサチュレーションから激しいディストーションまでさまざまな歪みサウンドをつくることができます。
LFOやエンベロープフォロワーなどのモジュレーション機能でパラメーターを動的に変化させることもできます。
リミッター・マキシマイザー
Pro-L2 / FabFilter
Pro-L2 は、わかりやすく操作性のよいインターフェースとクリアな音質で人気のリミッター・マキシマイザーです。
8つの圧縮アルゴリズム(Transparent, Punchy, Dymnamic, Allround, Aggressive, Modern, Bus, Safe)を搭載していて、クリアさを追求したものから、パンチのあるもの、ファットなものなど、これ1台でさまざまな質感のマキシマイズができます。
また、サンプル間で0dBを超えてしまうことを防ぐトゥルーピーク機能や、極端な圧縮をしたときに発生しがちなエイリアスノイズを低減するオーバーサンプリング機能、さまざまなラウドネス基準に対応したメーターなども搭載しています。
グラフィカルなインターフェースで、どのようにリミッターがかかっているか分かりやすいので、初心者の方でもかんたんに使うことができます。
Oxford Limiter V4 / Sonnox
Oxford Limiter V4 は、自然な音質に定評のあるリミッター・マキシマイザープラグインです。音の明瞭さやトランジェントを維持しながら、音圧や密度、迫力を高めます。
Oxford Inflatorよりも、透明な質感で音圧を上げることができます。
パラメーターの数が多く、細かな調整で音をつくりこむことができます。
原音のダイナミクスを残したまま、聴感上の音圧を上げることができるEnhance機能も登載されています。
業界標準のトゥルーピーク測定規格(ITU-R BS.1770-4)に準拠しています。
Oxford Inflatorと合わせて、導入しておきたいプラグインです。
その他
Fraunhofer Pro-Codec / Sonnox
Fraunhofer Pro-Codec は、mp3などのフォーマットに変換したときの音を、変換することなくリアルタイムにモニタリングできるプラグインです。
通常のmp3に書き出してから確認し、マスタリングを修正するといった工程を大幅に効率化できます。
AAC、mp3、iTunes Plus コーデック(Mac環境のみ)、HE AAC、mp3 Surround、24-bit/192kHzに対応したロスレスのHD AAC、mp3HDなど幅広いコーデック、ビット・レートに対応しています。
また、エンコードしたファイルの書き出しが可能なので、別のエンコーダーを使用せずにmp3などのファイル作成もできます。
マスタリングの効率化のために、ぜひもっておきたいプラグインです。
まとめ
マスタリング用のおすすめプラグインを紹介しました。 ミキシング用のおすすめプラグインについては、こちらを参照してください。