リバーブの種類と使い方を解説【初心者向け】

エフェクター

リバーブは、空間の残響音をつくるエフェクターです。

大きなホールや小さな部屋などの空間の大きさ、また、コンクリートや木といった反射面(壁・天井など)の材質をシミュレートできます。現実にはありえないような、極端な残響音をつくることもできます。

この記事では、リバーブの用途、使い方などについて解説します。

スポンサーリンク

リバーブとは

リバーブは、空間の残響音をつくるエフェクターです。

音がある空間で鳴ったとき、音源から直接聴こえる直接音の他に、壁・床・天井に反射してから耳に届く反射音・残響音があります。リバーブエフェクトは、この反射音・残響音をつくり出します。

下図では、オレンジ色の丸が音源、グレイの丸がリスナーを示しています。

リバーブの用途

リバーブはさまざまな用途で用いられます。

アンビエンス・臨場感を加える

リバーブは、音がある特徴をもつ空間で鳴っているような臨場感を、音に加えます。

クラシックやジャズなどの生演奏のジャンルには、現実の空間の残響をシミュレートした自然なアンビエンスが適しています。ヒップホップやエレクトロニック・ダンス・ミュージックなどのジャンルでは、アンビエンスは自然さよりも、より積極的に人工的なエフェクトとしてのアンビエンスが適しています。

各パートをまとめる

リバーブ成分がまったくないドライなサウンドでは、個々のパートがバラバラで不自然な音像になります。はっきりとは聴こえない程度のうすいリバーブをかけると、ミックスに自然な一体感が生まれます。

奥行きをつくる

リバーブは、音の奥行きを操作できます。

リバーブ成分が多くなると音は後ろへと下がり、リバーブ成分が少ないと音は前に出てきます。

雰囲気をつくる

リバーブを付加することで、優雅さ、ロマンチックさ、ミステリアスさ、トリップ感といった感覚を生み出すことができます。

音を生気を出す

リバーブをかけると、音に生気を生み出すことができます。まったく残響のないドライなサウンドは、冷たく不自然に聴こえます。これは、普段耳にする音には自然な残響があるからです。リバーブをかけると音に自然な活気を生み出すことができます。

音の空白を埋める

曲のなかで完全に無音の時間があると不自然な印象を与えます。リバーブで音のテイルを伸ばすことで、音の空白を埋めて、完全に無音になることを防ぐことができます。これは、特に遅いてテンポで音数の少ないアレンジの曲において有効です。

ステレオ空間を満たす

拡がりのない音源にリバーブをかけることで、ステレオ空間を音で満たし、拡がりのある音像をつくることができます。

例えば、ボーカルとピアノがセンターで鳴っているだけのミックスに対して、ステレオ・リバーブをかけると、残響音が左右に拡がって、拡がりあるサウンド・イメージをつくることができます。

音の質感を変える

リバーブは、音色に影響を与えます。

例えば、パーカッシブな音に、大きなリバーブ成分があれば、アタックはゆるくディケイは長くなり、音色やエンベロープが変化します。

リバーブによって、意図的に音色を変更することもできますが、意図せず元の音を破壊してしまう場合もあります。音色の変化に注意しながら、適切なリバーブを選択することが重要です。

積極的なエフェクトとして

リバーブは、積極的な音作りのためのエフェクトとしても用いられます。リバース・リバーブやゲート・リバーブなどはミキシング用途ではなく、音作りとして用いられます。

リバーブの注意点

リバーブはミックスに問題を引き起こす場合があります。

音がぼやける

リバーブは、音を不鮮明にし、定位を不明瞭にし、音を後ろへ下げてしまうことがあります。

他の音をマスキングする

長く密度のある残響音は、他のパートの音をマスキングして、聞き取りにくくしてしまうことがあります。

ごちゃごちゃになる

長過ぎたり、大きすぎたるするリバーブ成分は、ミックスを乱雑にしてしまうことがあります。

音色を変える

深いリバーブは、特にパーカッシブなサウンドのアタックを弱くディケイを長くして、音色を崩してしまうことがあります。

リバーブの使い方

センド・エフェクトとして使う

リバーブは一般的にセンド・エフェクトとして使います。

リバーブ用のバス・トラックにリバーブを挿し、そのリバーブ用のトラックに、各トラックからセンドでオーディオ信号を送ります。各トラックのリバーブの深さは、センド量で調整します。

ポスト・フェーダーからセンドする

リバーブ用のトラックにセンドする場合、ポスト・フェーダーから送ります。

ポスト・フェーダーとは、各トラックのレベル調整のフェーダーを通って、レベル調整がされた後のオーディオ信号のことです。
レベル調整前の信号は、プリ・フェーダーといいます。

ポスト・フェーダーからセンドすれば、各トラックのフェーダーでドライ信号のレベルを調整すれば、それにリンクしてリバーブの音量も変わります。

うすめにかける

リバーブ成分が、はっきりと聴き取れなくても効果はあります。これは、リバーブトラックをミュートしてみると分かります。ミキシング初心者は、リバーブを過剰にかけてしまいがちなので、注意が必要です。

リバーブとディレイを併用する

リバーブとディレイを併用すると、より印象的な効果が得られます。

リバーブとディレイを併用する場合、一般的にはリバーブとディレイを並列にして使います。直列にする場合は、ディレイ-リバーブの順にかけるのが一般的です。

モノ・リバーブとステレオ・リバーブの使い分け方

モノ・リバーブとステレオ・リバーブの違い

モノ・リバーブは、モノラルの残響音を生み出すリバーブ・エフェクトです。残響音が左右に拡がることなく、真ん中だけで鳴ります。

ステレオ・リバーブは、ステレオの残響音を生み出すリバーブ・エフェクトです。残響音が左右に拡がります。

普通はステレオ・リバーブを使う

一般的にリバーブは、ステレオ・リバーブを使います。残響音が左右で同じモノラルになるということは、現実にはありえないため、サウンドが不自然になるからです。モノ・リバーブは、現実的でない特殊な残響音をつくるときに使います。

モノ・リバーブで残響を定位させて分離のよいミックスにする

ステレオ・リバーブは、残響音がステレオ空間に拡がり、音がごちゃごちゃしてしまうことがあります。

モノ・リバーブで生成した残響音を、ドライ音と同じ低位にパンすることで、音が鳴っている場所だけで残響成分をならすことができます。これにより、残響音が空間全体に拡がらず、すっきりとした分離のよいミックスにすることができます。

モノ・リバーブで左右のバランスをとる

例えば、あるパートを左に定位させるとき、右に別のパートをふってバランスをとりたいが、適切なパートがないという場合があります。このようなとき、左にふったパートにモノ・リバーブをかけて、そのリバーブ成分を右から鳴らすことで、左右のバランスをとることができます。

モノ・リバーブで音が後ろへ下がるのを防ぐ

ステレオ・リバーブをかけると音が後ろへ下がります。モノ・リバーブは、ステレオ・リバーブと比べると、あまり音を後ろへ下げません。このため、前に置いておきたいパートには、モノ・リバーブが適しています。

ステレオ・リバーブのステレオ幅を狭めてモノ・リバーブ的な効果を出す

ステレオ・リバーブには、ステレオ幅を調整できるものがあります。また、調整できないものでも、リバーブ音にステレオ・イメージャーなどをかけてステレオ幅を調整することができます。

ステレオ幅を狭めたリバーブ音を使えば、モノ・リバーブとステレオ・リバーブの中間的な効果を出すことができます。

リバーブのパラメーター

プレ・ディレイ

プレ・ディレイ(Predelay)は、原音の鳴り始めから、最初の反射音の鳴り始めまでの時間です。

プレ・ディレイが大きくなると、空間が大きく感じられ、また、原音と残響音の分離がよくなります。

リバーブ・タイム/ディケイ・タイム

リバーブ・タイム(Reverb Time)、または、ディケイ・タイム(Decay Time)は、残響音がなくなるまでの時間です。

リバーブ・タイムが長くなると反射面の材質が硬く、短くなると柔らかく感じられます。

ディフュージョン/デンシティ

ディフュージョン(Diffusion)、または、デンシティ(Density)は、残響音の密度のことです。

残響音の密度が大きくなると、なめらかな残響音になります。

機種によっては、ディフュージョンとデンシティの両方のパラメーターがあるものがあります。その場合は、ディフュージョンが初期反射音(アーリー・リフレクション)の密度、デンシティが後期反射音(レイト・リフレクション)の密度を指していることが多いです。

フィルター/ダンピング

フィルター(Filter)、または、ダンピング(Damping)は、残響音の高域の減衰の大きさです。

残響音は、壁や空気によって吸収されます。そのとき、高域のほうが低域よりも減衰量が大きいです。この高域の減衰をローパス・フィルターによってシミュレートします。

ドライ/ウェット

ドライ/ウェット(Dry/Wet)は、原音(ドライ音)と残響音(ウェット音)の音量のバランスのことです。

リバーブの種類

リバーブには、さまざまな種類があります。それらは、アコースティック、メカニカル、アンナチュラルの3つのカテゴリーに分けられます。

アコースティック

アコースティック (Acoustic)は、コンサートホールやレコーディングスタジオなどの現実の空間の残響をシミュレートしたものです。

アコースティック・タイプのリバーブで主なものは、カテドラル、ホール、ルーム、チャンバー、アンビエントの5つです。

カテドラル

カテドラル(Cathedral)は、大聖堂の残響をシミュレートしたものです。
大きな空間です。

初期反射音が遅く不明瞭です。
ディケイタイムが非常に長いです。

アンビエントミュージックなど遅く音数の少ない音楽に適しています。

ホール

ホール(Hall)は、コンサートホールの残響をシミュレートしたものです。

大きな空間です。
初期反射音が遅いです。
ディケイタイムが長いです。
高域が自然に減衰します。

遅く音数の少ない曲や、ボーカルなどに適しています。

ルーム

ルーム(Room)は、レコーディング・スタジオや普通の部屋の残響をシミュレートしたものです。

ホールより小さな空間です。
ディケイタイムが短めの自然な残響です。
アンビエントよりは、はっきりと残響音が聴こえます。

速めの曲やドラムなどに適しています。

チャンバー

チャンバー(Chamber)は、残響を録音するための特殊な空間です。チャンバー内で、スピーカーから音を鳴らして残響を発生させ、それをマイクで録音します。チャンバーには、金属板やタイルなどを貼った部屋や、廊下、階段室などさまざまな空間が使われます。DAWプラグインでは、チャンバーの残響をシミュレートしています。

初期反射音が速いです。
ディケイタイムが長いです。

ボーカルやアコースティック楽器などに適しています。

アンビエント

ディケイタイムが非常に短いです。
はっきりとは聞き取れない残響音です。

複数のパートが同じ空間で鳴っているような、自然なまとまりをつくるのに適しています。

メカニカル

メカニカル(Mechanical)は、バネや金属板を用いた機械によって残響をつくり出すものです。

DAWプラグインでは、これらの機械によるリバーブをシミュレートしています。
メカニカル・タイプのリバーブで主なものは、スプリング、プレートの2つです。

スプリング

スプリング(Spring)は、バネを使って残響を発生させるスプリング・リバーブの残響をシミュレートしたものです。

プレート

プレート(Plate)は、金属板を使って残響を発生させるプレート・リバーブの残響をシミュレートしたものです。

アンナチュラル

アンナチュラル(Unnatural)は、アコースティックやメカニカルとは異なり、現実の空間や物体による自然な残響ではない特殊なエフェクトです。

アンナチュラル・タイプのリバーブで主なものは、リバース、ゲートの2つです。

リバース

リバース(Reverse)は、テープを逆回転させたような残響音をつくります。

シューゲイザーのギターサウンドに適しています。

ゲート

ゲート(Gate)は、ディケイタイムの長い残響音のテイルを、ノイズゲートでカットします。

80年代風のドラムサウンドに適しています。

まとめ

リバーブは、音楽制作において不可欠なエフェクターです。リバーブを適切に使いこなすことで、クオリティーの高いミックスをつくるようになります。