この記事では、おすすめのテープシミュレーター・エミュレーターVSTプラグインソフトを紹介し、テープシミュレーターの使い方についても解説します。
テープシミュレーターとは
テープシミュレーター(Tape Simulator)は、アナログのテープマシンを再現したプラグインです。
アナログテープならではのサチュレーションやピッチのゆらぎを再現し、クリーンで硬すぎるミックスにアナログならではの温かみを加えることができます。
おすすめテープシミュレータープラグイン
Kramer Master Tape / Waves

Kramer Master Tape / Waves は、希少なビンテージテープマシンをモデルリングしたテープシミュレータープラグインです。
テープスピード、バイアス、フラックス、ワウ&フラッター、ノイズの調整など、バーチャル・テープ・マシンに期待される全てのコントロールを搭載しています。
また、リード・ボーカルのミキシングに最適なクールなスラップ&フィードバック・ディレイ・ユニットも搭載しています。
収録バンドル: Horizon

J37 Tape / Waves

J37 Tape / Waves は、アビーロードスタジオで使われているテープマシンをモデリングしたテープシミュレータープラグインです。
テープスピード、バイアス、ノイズ、サチュレーション、ワウ、フラッターを含む様々な調整可能なコントロールを搭載しています。
J37本体に加えて、3つの独自のオキサイド・テープ・フォーミュラがモデル化されています。
60年代から70年代にかけてEMIが特別に開発したもので、それぞれ独自の周波数特性と高調波歪み特性を持っています。
さらにテープ・ディレイ・ユニットが追加されています。
収録バンドル: Abbey Road Collection


Tape / Softube

Tape / Softube は、3台のテープマシンをモデリングしたテープシミュレータープラグインです。
タイプAはその正確さとリニアな特性で広く支持を得たスイス製ハイエンド・オープンリール・マシンの銘名機をベースにしています。
タイプBは非常にカラフルなトランス・ベースのマシンで、ロー・エンドに更なる重みと滑らかさをもたらします。
タイプCは独特のヴィンテージな雰囲気のあるイギリス製テープ・マシンに基づいています。
ジョー・チッカレリ(ベック、U2、ザ・ストロークス)やハワード・ウィリング(スマッシング・パンプキンズ、シェリル・クロウ、クリス・クリストファーソン)など数々の賞を受賞したエンジニアがデザインしたプリセットを収録しています。

Ozone 9 Vintage Tape / iZotope

Ozone 9 Vintage Tape / iZotope は、マスタリング用総合プラグインOzoneに収録されているテープシミュレーターです。
高域と低域の限界においても優れた周波数特性を持つことで知らる Studer / A810テープ・マシンをベースにしています。
シンプルなインターフェイスでかんたんに使うことができます。


Saturn 2 / FabFilter

Saturn 2 / FabFilter は、多機能なマルチバンドサチュレータープラグインです。
テープや真空管など16種類のサチュレーションモードを搭載しています。



CHOW Tape Model(フリー)

CHOW Tape Model は、Sony / TC-260をベースにしたテープシミュレータープラグインです。
スタンフォード大学の研究プロジェクトとして開発されたものです。
サチュレーションやローファイ効果、ワウフラッターなどを調整できます。
テープシミュレーターの使い方
テープシミュレーターを使用する場合、実際のアナログ・テープに録音して再生する場合と比較して、大きな利点の1つは、信号経路のどこにテープ・サウンドを適用したいかを選択できることです。
以下に代表的なテープシミュレーターの使い方を4つ紹介します。
単一のトラックにかける
テープ感を加えたいトラックにのみテープシミュレーターをかける使い方です。
ミックスのキーとなるトラックにテープシミュレーターを1つ挿すだけでも、テープの印象を与えることができます。
すべての個別トラックにかける
ミックスのすべての個別のトラックにテープシミュレーターをかける使い方です。
アナログのマルチトラックレコーダーを再現することができます。
テープサウンドを再現するための、もっとも本格的な方法です。
バストラックにかける
ドラムバスやマスターバスなどに、テープシミュレーターをかける使い方です。
かんたんにミックスの印象を変えることができます。
マスタリング時にかける
マスタリング時に、テープシミュレーターをかける使い方です。
ミックスがクリーンすぎたり、デジタル感が強すぎたりする場合にかけると温かみやアナログ感のある音にすることができます。
テープシミュレーターのパラメーター
一般的なエープシミュレーターのパラメーターについて解説します。
インプット
インプット(Input)は、テープに録音するときの入力レベルです。
インプットを高くすると、サチュレーションによる高調波歪みとコンプレッションが強くなります。
アウトプット
アウトプット(Output)は、出力の音量レベルです。
ワウ&フラッター
ワウ(Wow)とフラッター(Flutter)は、テープスピードのムラによるピッチのゆらぎを調整します。
ワウは、モーターが原因で発生する回転ムラです。
フラッターは、テープがテープヘッドを通過するときに発生する振動や伸びによるムラです。
テープスピード
テープスピード(Tape Speed)は、テープがテープヘッドを通過するスピードを調整します。単位はips(Inches Per Second:秒速何インチか)です。
テープスピードによって、音の特性が異なってきます。
低速(7.5 ips前後)では、低域が太くなり、高域が減衰した温かいサウンドが得られます。
高速(15~30 ips前後)では、よりクリーンなサウンドで明るい高域が得られ、マスタリング用途に最適です。
バイアス
バイアス(Bias)は、テープへの録音の品質を向上させるために加えられる超音波 (40~150kHz程度)の強さを調整します。
低レベルのオーディオ信号を、テープの非線形領域から線形領域へと押し出すことで音質を改善します。
バイアスは、オーバー気味に設定するのがエンジニアに好まれます。
フラックス
フラックス(Flux)とは、レコードヘッドからテープに放射される磁気放射のレベルのことす。
古いテープは低いフラックスレベルを扱うように設計されていましたが、最新のテープは歪む前にはるかに高いフラックスに耐えることができ、その結果、比較的低ノイズでの録音が可能です。
ノイズ
ノイズ(Noise)は、ヒスノイズの量を調整します。
サチュレーションやワウ・フラッター効果のみを得たい場合には、ノイズはゼロにしておけばよいです。