この記事ではコード理論の初心者の方向けに、おしゃれなコード進行の定番である「Just The Two of Us 進行」っぽいコード進行をつくる方法を解説します。 この記事の手法を使えば、かんたんにおしゃれなコード進行がつくれるようになるので、ぜひ参考にして下さい。
Just The Two of Us 進行とは?
Just The Two of Us進行とは、その名の通り「Just The Two of Us」という曲で使われたコード進行です。
- IVM7ーIII7ーVIm7ーI7
- FM7 – E7 – Am7 – C7 (Cメジャースケール)
ChordSweet_FM7-E7-Am7-C7.mp3
Grover Washington Jr. feat. Bill Withers – Just The Two of Us
Just The Two of Us進行は、おしゃれなコード進行の代表とも言える進行で、邦楽/洋楽問わず広く使われています。 日本では、椎名林檎さんが「丸の内サディスティック」で使ったことでよく知られています。
Just The Two of Us 進行の使用曲
Ariana Grande – thank u, next
椎名林檎 – 丸の内サディスティック
あいみょん – 愛を伝えたいだとか
おしゃれなコード進行の作り方
ここからは、Just The Two of Us 進行っぽいコード進行の作り方について解説していきます。 まずは、Just The Two of Us 進行からおしゃれな感じを取り除いて、元になっているコード進行をみてみましょう。
- FM7 – E7 – Am7 – C7 (Just The Two of Us 進行)
- F – Em – Am (元)
ChordSweet_FM7-E7-Am7-C7.mp3
ChordSweet_F-Em-Am.mp3 Just The Two of Us 進行の元になっているのは、「F – Em – Am」です。 メジャーコードとマイナーコードだけのシンプルな進行です。 この進行に装飾をしていくことで、Just The Two of Us 進行っぽいおしゃれなコード進行にしていきます。
1. メジャーをメジャーセブンスに、マイナーをマイナーセブンスに変える
おしゃれなコード進行づくりの第一歩は、メジャーコードをメジャーセブンスコード(M7)に、マイナーコードをマイナーセブンスコード(m7)に変えることです。 Cメジャースケールの場合、下記のように変えることができます。
- C -> CM7 (ド、ミ、ソ、シ)
- Dm -> Dm7(レ、ファ、ラ、ド)
- Em -> Em7(ミ、ソ、シ、レ)
- F -> FM7(ファ、ラ、ド、ミ)
- Am -> Am7 (ラ、ド、ミ、ソ)
この手法を使うと「F – Em -Am」は、「FM7 – Em7 – Am7」にすることができます。
- FM7 – Em7 – Am7
ChordSweet_FM7-Em7-Am7.mp3 これだけでも、元の「F – Em – Am」より、かなりおしゃれな感じになったと思います。 メジャーセブンス、マイナーセブンスは、スケール内の音しか使わないダイアトニックコードなので、かんたんに使うことができます。
2. セカンダリードミナントを使う
コード理論を学んでいくと、スケール外の音を使うノンダイアトニックコードを使ってみたくなると思います。 ノンダイアトニックコードの中で、もっともよく使われるのがセカンダリードミナントコードです。 セカンダリードミナントコードを使うには、まずドミナントモーションを知っておかなければなりません。
ドミナントモーションとは
ドミナントモーションとは、ドミナントコード(5度)からトニックコード(1度)へ進む「V7 – I」の進行です。具体的なスケールにあてはめると下記のようになります。
- G7 – C(Cメジャースケール)
- C7 – F (Fメジャースケール)
- E7 – A (Aメジャースケール)
セカンダリードミナントコードとは
セカンダリードミナントコードとは、次に進むコードを仮のトニック(1度)と見立てて、そのトニックに対してドミナントモーションとなるコードのことです。 例えば、Amコードへ進みたいときに、Amを仮のトニックと見立てると、E7がセカンダリードミナントコードにあたります。 上でつくった「FM7 – Em7 – Am7」進行のAm7に対して、セカンダリードミナントを用いると「FM7 – E7 – Am7」になります。
- FM7 – E7 – Am7
ChordSweet_FM7-E7-Am7.mp3 元の「FM7 – Em7 – Am7」よりも、独特の渋みがあるようなおしゃれな感じになったと思います。 ここまででも、かなりおしゃれになりましたが、さらにもうひとつセカンダリードミナントを加えてみましょう。 上でつくった「FM7 – E7 – Am7」の頭のFM7に対するセカンダリードミナントコードとなるC7を進行の最後に入れてみます。
- FM7 – E7 – Am7 – C7
ChordSweet_FM7-E7-Am7-C7.mp3 これで「Just The Two of Us 進行」になりました。 Just The Two of Us 進行は、このようなステップでつくることができます。
3. セカンダリードミナントを2-5に分割する
「Just The Two of Us 進行」ができあがりましたが、さらにもうひとつおしゃれ感を加えてみましょう。 セカンダリードミナントコードは、「2-5(トゥーファイブ)」に分割できます。 「2-5」とは、定型句的によく使われる進行「IIm7-V7」(CメジャースケールでDm7-G7)のことです。 上でつくったJust The Two of Us 進行「FM7 – E7 – Am7 – C7」のC7を「2-5」に分割すると、「Gm7 – C7」となりコード進行は下記のようになります。
- FM7 – E7 – Am7 – Gm7 – C7
ChordSweet_FM7-E7-Am7-Gm7-C7.mp3 Just The Two of Us 進行よりも、さらにおしゃれな感じになったと思います。 この進行は、Just The Two of Us 進行のバリエーションとしてよく使われています。
4. セカンダリードミナントをディミニッシュで代理する
Just The Two of Us 進行に似ているけど、少し違う進行をつくりたいときに使えるのが、セカンダリードミナントコードを代理コードのディミニッシュコード(dim)に変える手法です。 代理コードとは、構成音が似ているので代わりに使うことができるコードのことです。 ドミナントのセブンスコードの代理として使えるのは、ドミナントコードのルート音を半音上げたディミニッシュコードです。 例えば、セカンダリードミナントコードが「C7」の場合、代理コードとなるディミニッシュコードは「C#dim」となります。 Just The Two of Us 進行「FM7 – E7 – Am7 – C7」の「C7」をディミニッシュコード「C#dim」で代理すると下記の進行になります。
- FM7 – E7 – Am7 – C#dim
ChordSweet_FM7-E7-Am7-Csdim.mp3 Just The Two of Us 進行より、少し渋みの強い感じになったと思います。
まとめ
おしゃれなコード進行のつくり方について解説しました。
- メジャーをメジャーセブンスに、マイナーをマイナーセブンスに変える
- セカンダリードミナントを使う
- セカンダリードミナントを2-5に分割する
- セカンダリードミナントをディミニッシュで代理する
これらの手法を使うだけでも、いろいろなパターンのおしゃれなコード進行をつくることができるので、ぜひ試してみてください。 コード理論について詳しく学びたい方には、下記の本がおすすめです。
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