この記事では、おすすめのテープシミュレーター・エミュレーターVSTプラグインソフトを紹介し、テープシミュレーターの使い方についても解説します。
テープシミュレーターとは
テープシミュレーター(Tape Simulator)は、アナログのテープマシンを再現したプラグインです。
アナログテープならではのサチュレーションやピッチのゆらぎを再現し、クリーンで硬すぎるミックスにアナログならではの温かみを加えることができます。
おすすめテープシミュレータープラグイン
Verve Analog Machines / Universal Audio
Verve Analog Machines は、シンプルで使いやすいテープシミュレータープラグインです。
トラックにアナログのテープならではの暖かみやパンチを加えることができます。
キャラクターの異なる10種類のマシンから好みのものを選択し、2つのパラメーターを調整するだけでかんたんに使うことができます。
テープシミュレーターの使い方が分からないDTM初心者でも直感的に使え***ます。また、複雑な設定が不要なのでミックスの作業の時短も可能**です。
10種類のマシンは、Sweeten、Warm、Distortなど音の特徴が分かりやすい名前になっているので、目的に合わせてすばやく適切なマシンを選択できます。
Univesal Audioのハイクオリティな音質をかんたんな操作で得られるVerveは、DTM初心者から上級者まで幅広い方におすすめのテープシミュレーターです。
簡易版のEssentialsは、マシンが4つ、調整できるパラメーターが1つになります。
Studer A800 / Universal Audio
Studer A800 は、1978年に発売され現在でも世界中のスタジオで使われているテープマシンの名機 Studer A800 のクローンプラグインです。
テープならではのサチュレーションやグリュー感、ファットなローエンドなど、プラグインを通すだけで存在感のある音にしてくれます。
各トラックに挿したプラグインを一括して操作できるギャングコントロール機能を搭載しており、効率よく作業できます。
テープタイプコントロールでは、この30年間のもっともポピュラーな4種類のテープを選択でき、それぞれ固有の歪みやコンプ感があります。
テープスピードは3種類の設定が可能で、スピードを遅くするとより重心の低いファットなサウンドになります。
ロゴをクリックするとマシン調整用のパネルが開きます。テープの感度やバイアスを調整でき、細かなサウンドメイクが可能です。
Nativeにも対応しており、Univarsal Audioのハードウェアなしで使うことができます。
Studer A800 は、挿すだけでも音の存在感を高めてくれるテープマシンプラグインです。音にアナログ感を加えて、ミックスのクオリティを一段上げたい方におすすめです。
Oxide Tape Recorder / Universal Audio
Oxide Tape Recorder は、シンプルで使いやすいテープシミュレータープラグインです。
かんたんな操作で、アナログテープならではのコンプ感やグリュー感、色をトラックに加えることができます。
TAIP / Baby Audio
TAIP / Baby Audio は、AI(人工知能)アルゴリズムを使用したテープシミュレータープラグインです。
AIを使用することで、従来のDSP(デジタル信号処理)アルゴリズムでは再現できなかった、アナログ回路の微妙なニュアンスまで忠実に再現しています。
トラックにアナログテープならではの暖かみとグリュー感を加えたり、ディストーションプラグインの代わりに激しくドライブさせたりすることができます。
インターフェイスも見やすく、パラメーターもDrive、Wear、Glue、Presenceなど効果が直感的に分かりやすいので、初めてテープシミュレーターを使う方でも、かんたんに使うことができます。
Tape / Softube
Tape / Softube は、3台のテープマシンをモデリングしたテープシミュレータープラグインです。
タイプAはその正確さとリニアな特性で広く支持を得たスイス製ハイエンド・オープンリール・マシンの銘名機をベースにしています。
タイプBは非常にカラフルなトランス・ベースのマシンで、ロー・エンドに更なる重みと滑らかさをもたらします。
タイプCは独特のヴィンテージな雰囲気のあるイギリス製テープ・マシンに基づいています。
CPU負荷が軽いのですべてのトラックに挿しても、問題なく使用できます。
Ozone Vintage Tape / iZotope
Ozone Vintage Tape / iZotope は、マスタリング用総合プラグインOzoneに収録されているテープシミュレーターです。
高域と低域の限界においても優れた周波数特性を持つことで知らる Studer / A810テープ・マシンをベースにしています。
シンプルなインターフェイスでかんたんに使うことができます。
Sketch Cassette 2 / Aberrant DSP
SketchCassette II は、カセットテープならではのローファイサウンドを生み出すテープシミュレータープラグインです。
3種類のテープタイプと、テープタイプごとに4種類の品質タイプを選択できます。
テープの劣化具合を調整するAgeパラメーター、回転ムラを調整するWow&Flutter、音の歪みを調整するSaturation、ノイズ量を調整するHiss、音の脱落を調整するDropoutパラメーターなどを備えています。
ローファイヒップホップなどのサウンドメイクに最適なプラグインです。
Cassette / Wavesfactory
Cassette は、カセットテープシミュレータープラグインです。
カセットテープならではの、暖かみあるローファイサウンドが得られます。
カセットテープは4種類から選択でます。
プレイヤーは、Pro、Home、Microの3種類から選択できます。Proは、4トラックのMTR、Microはポータブルレコーダー、HomeはProとMicroの中間の特性を持たせたものです。
それぞれのテープ、プレイヤーごとに独特の周波数特性、サチュレーション、コンプ感、ノイズ、ムラ、欠落、クロストークなどを持っています。
フロントパネルには、6つのノブ・パラメーターがあり、パネルを開くとさらに詳細な調整が可能です。
テープに上書きしたときの音質を再現するユニークなErasureパラメーターも備えています。
Kramer Master Tape / Waves
Kramer Master Tape / Waves は、希少なビンテージテープマシンをモデルリングしたテープシミュレータープラグインです。
テープスピード、バイアス、フラックス、ワウ&フラッター、ノイズの調整など、バーチャル・テープ・マシンに期待される全てのコントロールを搭載しています。
リード・ボーカルのミキシングに最適なクールなスラップ&フィードバック・ディレイ・ユニットも搭載しています。
収録バンドル: Horizon
J37 Tape / Waves
J37 Tape / Waves は、アビーロードスタジオで使われているテープマシンをモデリングしたテープシミュレータープラグインです。
テープスピード、バイアス、ノイズ、サチュレーション、ワウ、フラッターを含む様々な調整可能なコントロールを搭載しています。
J37本体に加えて、3つの独自のオキサイド・テープ・フォーミュラがモデル化されています。
60年代から70年代にかけてEMIが特別に開発したもので、それぞれ独自の周波数特性と高調波歪み特性を持っています。
さらにテープ・ディレイ・ユニットが追加されています。
収録バンドル: Abbey Road Collection
CHOW Tape Model(フリー)
CHOW Tape Model は、Sony / TC-260をベースにしたテープシミュレータープラグインです。
スタンフォード大学の研究プロジェクトとして開発されたものです。
サチュレーションやローファイ効果、ワウフラッターなどを調整できます。
テープシミュレーターの使い方
テープシミュレーターを使用する場合、実際のアナログ・テープに録音して再生する場合と比較して、大きな利点の1つは、信号経路のどこにテープ・サウンドを適用したいかを選択できることです。 以下に代表的なテープシミュレーターの使い方を4つ紹介します。
単一のトラックにかける
テープ感を加えたいトラックにのみテープシミュレーターをかける使い方です。 ミックスのキーとなるトラックにテープシミュレーターを1つ挿すだけでも、テープの印象を与えることができます。
すべての個別トラックにかける
ミックスのすべての個別のトラックにテープシミュレーターをかける使い方です。 アナログのマルチトラックレコーダーを再現することができます。 テープサウンドを再現するための、もっとも本格的な方法です。
バストラックにかける
ドラムバスやマスターバスなどに、テープシミュレーターをかける使い方です。 かんたんにミックスの印象を変えることができます。
マスタリング時にかける
マスタリング時に、テープシミュレーターをかける使い方です。 ミックスがクリーンすぎたり、デジタル感が強すぎたりする場合にかけると温かみやアナログ感のある音にすることができます。
テープシミュレーターのパラメーター
一般的なエープシミュレーターのパラメーターについて解説します。
インプット
インプット(Input)は、テープに録音するときの入力レベルです。 インプットを高くすると、サチュレーションによる高調波歪みとコンプレッションが強くなります。
アウトプット
アウトプット(Output)は、出力の音量レベルです。
ワウ&フラッター
ワウ(Wow)とフラッター(Flutter)は、テープスピードのムラによるピッチのゆらぎを調整します。 ワウは、モーターが原因で発生する回転ムラです。 フラッターは、テープがテープヘッドを通過するときに発生する振動や伸びによるムラです。
テープスピード
テープスピード(Tape Speed)は、テープがテープヘッドを通過するスピードを調整します。単位はips(Inches Per Second:秒速何インチか)です。 テープスピードによって、音の特性が異なってきます。 低速(7.5 ips前後)では、低域が太くなり、高域が減衰した温かいサウンドが得られます。 高速(15~30 ips前後)では、よりクリーンなサウンドで明るい高域が得られ、マスタリング用途に最適です。
バイアス
バイアス(Bias)は、テープへの録音の品質を向上させるために加えられる超音波 (40~150kHz程度)の強さを調整します。 低レベルのオーディオ信号を、テープの非線形領域から線形領域へと押し出すことで音質を改善します。 バイアスは、オーバー気味に設定するのがエンジニアに好まれます。
フラックス
フラックス(Flux)とは、レコードヘッドからテープに放射される磁気放射のレベルのことす。 古いテープは低いフラックスレベルを扱うように設計されていましたが、最新のテープは歪む前にはるかに高いフラックスに耐えることができ、その結果、比較的低ノイズでの録音が可能です。
ノイズ
ノイズ(Noise)は、ヒスノイズの量を調整します。 サチュレーションやワウ・フラッター効果のみを得たい場合には、ノイズはゼロにしておけばよいです。