Massive X / Native Instruments レビュー!使い方も解説

Native Instruments Massive XVSTプラグイン

Massive X(マッシブ・エックス)は、2019年6月にNative Instruments(ネイティブ・インストゥルメンツ)から発売されたソフトシンセです。

この記事では、Massive X の機能、使い方について解説します。

Massive X とは

Massive X は、2019年6月に Native Instruments から発売されたソフトシンセです。

2007年に発売された Massive をベースに、新たに別の製品として設計されたシンセです。旧Massiveも、継続して販売されます。

Massive X は、モジュラー機能を搭載したウェーブテーブルシンセです。多数のオシレーター波形に自由度の高いモジュレーションを加えて、幅広い音作りが可能です。

Massive X は、VST、AU、AAXプラグインです。スタンドアロンでは使用できません。

Massive X の価格

  • Massive X 単品 : $199

Massive X は、Native Instruments 社の50種類以上のソフトを収録したKOMPLETE 12、KOMPLETE 12 ULTIMATE にも付属しています。単品で購入するよりも、KOMPLETE を購入した方がかなりお得です。

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Massive X の概要

  • 16 x マクロノブ
  • 2 x オシレーター
  • 2 x 周波数変調用オシレーター
  • 2 x ノイズジェネレーター
  • 1 x フィルター
  • 3 x インサートエフェクト
  • 1 x アンプ
  • 3 x ステレオエフェクト
  • ボイス・セクション
  • ルーティング・セクション
  • モジュレーター
    • 3 x パフォーマー
    • 9 x エンベロープ/LFO
    • 3 x トラッカー
    • 1 x ランダム

Massive X の構成・使い方

Native Instruments Massive X

Massive X のインターフェースは4つのセクションに分かれています。

  • ヘッダー
  • オーディオ・モジュールズ
  • ナビゲーション・バー
  • エディター

上段のオーディオ・モジュールズ・セクションには、オシレーターやフィルター、アンプ、エフェクターなどオーディオ信号を処理する機能が並んでいます。

下段のエディター・セクションは、上段のオーディオ・モジュールのルーティング機能、エンベロープやLFOなどのモジュレーター機能があります。

GUIの下線付きテキストの部分をクリックすると、ドロップダウンメニューが開きます。

ヘッダー

Native Instruments Massive X header

GUIのサイズ変更

Native Instruments Massive X resize

「Massive X」のロゴの右横にある三角マークをクリックすると、ドロップダウンメニューが開き、GUIのサイズを変更できます。

プリセットの選択

プリセットを選んだり、保存したりできます。316のプリセットがあります。

ピッチベンド・ホイール、モジュレーション・ホイール、アフタータッチののマッピング

ピッチベンドホーイールなどを、各パラメーターにマッピングできます。

16のマクロ・ノブ

マクロノブを各パラメーターにマッピングできます。

DAWからオートメーションで動かせるのはマクロのみです。そのため、オートメーションで動かしたいパラメーターは、マクロにマッピングしなければなりません。

オーディオ・モジュールズ

Native Instruments Massive X audio modules

オーディオ・モジュールズ・セクションには、左から順にグローバルピッチ、オシレーター、ノイズジェネレーター、フィルター、インサートエフェクト、アンプ、ステレオエフェクトが配置されています。

グローバルピッチ/グライド

Native Instruments Massive X global pitch

オシレーター1、2の両方に反映されるグローバルピッチの設定を行います。モジュレーターをマッピングすれば、ビブラートをかけたりすることができます。

グライドのオン/オフ、グライドタイムを設定します。

オシレーター

Native Instruments Massive X oscillator

オシレーター・セクションには、上段に2基のウェーブテーブル・オシレーターが、下段に2基の周波数変調用オシレーターがあります。

オシレーターには、フェイズ・ディストーションやオシレーター・シンクなどを行える10のモードが搭載されています。

  • Standard
  • Bend
  • Mirror
  • Hardsync
  • Wrap
  • Formant
  • ART
  • Gorilla
  • Random
  • Jitter

各モードには、それぞれサブモードがあります。

自分で作成したウェーブテーブルを読み込むことはできません。

ノイズジェネレーター

Native Instruments Massive X noise generator

ノイズジェネレーターは、2基あります。

ホワイトノイズやシンバル用のノイズ、環境音などを生成します。ノイズのピッチをコントロールできます。

フィルター

Native Instruments Massive X filter

フィルターは、1基のみです。

9種類のフィルターが搭載されています。各フィルタータイプごとにサブモードがあります。

  • Asimov
  • Blue Monark
  • Comb
  • Creak
  • Groian
  • Scanner
  • SVF
  • SVF Parallel
  • SVF Serial

インサートエフェクト

Native Instruments Massive X insert effect

インサートエフェクトは、アンプの前にルーティングするエフェクトで、3基搭載されています。

インサートエフェクトには、ディストーションやリングモジュレーターなど11種類のエフェクトがあります。インサートエフェクトには、オシレーターやフィルターもあり、3つめのオシレーターや2つめのフィルターとして使うこともできます。

  • Anima(レゾネーター)
  • Bit Crusher(ビットクラッシャー)
  • Utility(2 x フィルター)
  • Folder(ウェーブシェイパー)
  • Freq Shifter(フリーケンシーシフター)
  • Distortion(ディストーション)
  • OSC(オシレーター)
  • PM OSC(フェイズモジュレーション・オシレーター)
  • Ring Mod(リングモジュレーター)
  • Sample+Hold(サンプル&ホールド)
  • Track Delay(信号を遅らせる)

アンプ

Native Instruments Massive X amp

アンプでは、音量やパンの調整を行います。

ルーティング・セクションで設定できるフィードバックのフィードバック量の設定もアンプで行います。

ステレオエフェクト

Native Instruments Massive X stereo effect

ステレオエフェクトは、アンプ通過後の信号にかけるエフェクターです。

ステレオエフェクトには、リバーブ、ディレイ、フランジャーなど9種類のエフェクトがあります。

  • Dimension Expander(コーラス)
  • Equalizer(3バンド・イコライザー)
  • Flanger(フランジャー)
  • Nonlinear Lab(オーバードライブ)
  • Phaser(フェイザー)
  • Quad Chorus(コーラス)
  • Reverb(リバーブ)
  • Stereo Delay(ステレオディレイ)
  • Stereo Expander(ステレオイメージャー)

ナビゲーション・バー

Native Instruments Massive X navigation bar

エディター画面の選択

Voice、Routing、P1、E1などのタブをクリックして、下のエディターセクションに表示する内容を切り替えます。

モジュレーターのマッピング

P1、E1などの上にある十字マークで、モジュレーターのマッピングを行います。十字マークをクリックすると、マッピングできるパラメーターがハイライトされ、ハイライトをクリックすることでマッピングできます。

VR

ナビゲーション・バーの右端にある「VR」は、ランダム・モジュレーターです。ノートオンの度に、ランダム値を送ります。例えば、ノートオンごとにフィルターのカットオフ周波数を変化させるといったことに使えます。

エディター

ボイス・セクション

Native Instruments Massive X voice

ボイスセクション(Voice)では、同時発音数やユニゾンなどの設定を行います。

ルーティング・セクション

Native Instruments Massive X routing

ルーティングセクション(Routing)では、オシレーター、フィルター、エフェクターなどのルーティングを設定します。

ルーティングについては、後に詳しく解説します。

モジュレーター

パフォーマー

Native Instruments Massive X performer

パフォーマー(Performer)は、ステップシーケンサー風のモジュレーターで、3基搭載されています。最長8小節までの長いモジュレーションカーブを自由に設定できます。

パフォーマーは、1基あたり12のバリエーションを設定できます。最下段のタブから切り替えられます。バリエーションの切り替えは、MIDIノートから行うこともできます。

エンベロープ

Native Instruments Massive X envelope

エンベロープ/LFOは、9基搭載されています。エンベロープ(Envelope)には、Modulation EnvelopeとExciter Envelopeの2種類があります。

Modulation Envelope は、一般的なADSRエンベロープにDelayとHoldパラメーターを加えたものです。
Modulator 1(E1)は、アンプに固定されています。音量の変化をModulator 1で設定します。Modulator 1 をアンプと同時に別のパラメーターへマッピングできます。

Exciter Envelope は、1周期のみのLFOのようなものです。ノートオンから数十ミリ秒程度までの、アタック部分にモジュレーションをかけることができます。例えば、バスドラムの音色をつくったときに、アタック時にピッチをモジュレーションすることで、ドラムのアタックの質感を変えるといったことなどに利用できます。

エンベロープの下に表示されている図には、パラメーターの変化は反映されません。

LFO

Native Instruments Massive X lfo

LFOには、Switcher LFOとRandom LFOの2種類があります。

Switcher LFOは、16種類のシェイプがあります。

Random LFOは、振幅や周波数をランダムにすることができるLFOです。

トラッカー

Native Instruments Massive X tracker

トラッカー(Tracker)は、MIDIノートのピッチやベロシティを用いてモジュレートする機能です。

ルーティングの解説

ルーティングセクション(Routing)では、オシレーター、フィルター、エフェクターなどのルーティングを設定します。

モノフォニックエリア/ポリフォニックエリア

Native Instruments Massive X routing

ルーティングセクションは、左側のポリフォニックエリア(Polyphonic Area)と、右側のモノフォニックエリア(Monophonic Area)に分かれています。

ポリフォニックエリアでは、オシレーター、フィルター、インサートエフェクトなどのルーティングを行います。モノフォニックエリアでは、ステレオエフェクトのルーティングを行います。

ポリフォニックエリアの回路は、1ボイスごとに生成されます。例えば、4音発音しているときは、ポリフォニックエリアの回路が4つ生成されていることになります。

モノフォニックエリアの回路は、つねに1つです。ポリフォニックエリアの各ボイスをミックスしたものがモノフォニックエリアに送られます。

パッチングの仕方

オシレーターやフィルターなどのオブジェクトをパッチングするには、オブジェクトの右側にあるアウトレット(四角い部分)と、別のオブジェクトの左側にあるインレットをパッチケーブルで接続します。

パッチケーブルを接続するには、アウトレットからインレットへドラッグします。パッチケーブルを削除するには。パッチケーブルをダブルクリックします。

Native Instruments Massive X routing oscillator

Massive X は、あらかじめ内部結線されていないので、音を出すにはオシレーターやノイズジェネレーターを、ルーティングセクションの右側にあるMonophonic Area の入力へとパッチングしなければなりません。上図では、オシレーター2は出力へパッチングされていないので、オシレーター2の音は出力されません。

オシレーターのオン/オフ、フィルター、エフェクターのバイパスはルーティングセクションで各オブジェクトを右クリックすることで行います。

Mod オブジェクト

「Mod 1/2」オブジェクトを使うことで、エンベロープやLFOなどのモジュレーター信号をオーディオ信号としてルーティングすることができます。

例えば、エキサイターエンベロープでパルスを生成して、オーディオ信号として使えば、ドラムのアタック時のクリック音として使うことができます。

Native Instruments Massive X routing mod

モジュレーター信号をルーティングするには、「Mod 1/2」オブジェクトの左側の四角い部分へ、ナビゲーションバーから十字マークをドラックします。上図では、「E3 エンベロープ」の信号を「Mod 1」オブジェクトへと送っています。

FB オブジェクト

「FB」オブジェクトを使うことで、信号をフィードバックさせることができます。フィードバックとは、出力した信号を入力に戻すことです。

「FB」オブジェクトは、インレット用とアウトレット用の2つの「FB」オブジェクトがセットになっています。フィードバックさせたい信号をインレッット用「FB」オブジェクトは送り、アウトレット用「FB」オブジェクトをフィードバック信号を送りたいオブジェクトへ接続します。

Native Instruments Massive X routing feedback

上図では、信号が「C Utility」オブジェクトから「X ステレオエフェクト」とインレット用「FB」オブジェクトへ送られます。フィードバック回路へ入力された信号は、上段のAmpセクションのFBダイアルで音量を調整されます。その後、アウトレット用「FB」オブジェクトから出力されます。

「FB」オブジェクトから出力された信号は、「B Track Delay」オブジェクトへと送られます。その後、信号は「B Track Delay」オブジェクトから「C Utility」オブジェクトへ送られます。

このようにして信号を延々とフィードバックさせることができます。

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